007/カジノ・ロワイヤル (1967年の映画)

映画『007/カジノ・ロワイヤル』について

1976年の映画『007/カジノ・ロワイヤル』は、英米の共同制作によるスパイコメディとして知られています。原作はイアン・フレミングによる同名の小説ですが、本作は007シリーズのパロディとして描かれています。この映画には、ピーター・セラーズやデヴィッド・ニーヴン、ウルスラ・アンドレスなどの豪華なキャストが勢揃いし、特に新人のジャクリーン・ビセットが出演していることでも注目を集めました。

作品背景

本作は、007シリーズの初作である小説『カジノ・ロワイヤル』の映画化権が1955年に取得され、その後何度も映画化試みが行われた結果生まれた作品です。当初、グレゴリー・ラトフが映画化権を手にしたものの、実現を見ないまま彼は1960年に他界。その後、ハリウッドの重役チャールズ・K・フェルドマンが権利を引き継ぎ、007シリーズの映画化を試みましたが、ことごとく失敗しました。

1962年から始まったイオン・プロダクションズによる007シリーズは、世界中で評判を呼び、その人気の高さも影響して、本作は正式な007映画としての位置づけはされていません。フェルドマンは最終的にコロムビア映画と契約し、ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズなどの多くの監督が参加する作品に仕立て上げました。

物語の流れ

映画は、20年前に引退した名スパイ、ジェームズ・ボンド卿（演：デヴィッド・ニーヴン）の元に、イギリス秘密情報部のMやCIA、KGBの幹部が訪れるところから始まります。彼らの目的は、次々に行方不明となるスパイたちを救うためにボンド卿の復帰を願うことでしたが、ボンドはこの要請を断ります。制裁として彼の住居が迫撃砲で爆破され、結果的にMが死ぬという予想外の事態に。

ボンドは、亡きMの妻フィオーナを訪れるところから再び物語が動き始めます。そこで、スメルシという悪の組織の工作員と関わることになり、やがて彼女はボンドの魅力に惹かれ、彼に協力します。ボンドは美女たちと共に、様々なトラブルを切り抜けることになります。

ロンドンに戻ったボンドは、Mに代わって情報部のトップに就任し、悪党ル・シフルを倒すための策略を練ります。その一環として、すべての情報部員に「ジェームズ・ボンド」と名乗らせ、混乱を招くことに。果てしない騙し合いの中で、彼の娘マタ・ボンドがスパイ学校に潜入し、敵の計画を暴くことになります。

特徴と評価

映画の特徴としては、顕著なパロディでありながら、豪華な俳優陣の演技やバート・バカラックが手がけた音楽が挙げられます。主題歌「恋の面影」はアカデミー歌曲賞にノミネートされ、そのメロディーは多くの人々に親しまれています。また、物語はアクションが多い007シリーズとは一味違い、コミカルな状況が連続するため、見応えのある作品となっています。

近年では、1960年代のカオスな雰囲気や、作品内での独特なユーモアが再評価され、『オースティン・パワーズ』シリーズなど多くの後続作品に影響を与えたことも特徴的です。映画ファンにとって、007シリーズの代名詞ともいえるボンドのユーモラスな側面を見ることができる貴重な作品といえるでしょう。

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