1・2の三四郎

『1・2の三四郎』（いちにのさんしろう）は、小林まことによる日本の漫画作品です。1981年度には第5回講談社漫画賞少年部門を受賞しました。続編として『1・2の三四郎 2』、『格闘探偵団』が存在します。

概要

この作品は、『週刊少年マガジン』（講談社）にて1978年から1983年まで連載されました。連載のベースとなったのは、1978年に第20回少年マガジン新人漫画賞で入選した短編「格闘三兄弟」です。

『1・2の三四郎』は小林まことの初連載作品であり、彼の漫画家としての地位を確立した出世作として知られています。現在でも小林の代表作の一つとして広く認知されています。基本的にはコメディ漫画ですが、物語は高校編では「ラグビー」と「柔道」、卒業後は「プロレス」といったスポーツをベースに展開され、ラグビーや柔道、プロレスの試合シーンは非常に真剣に描かれています。

連載開始から30年以上が経過していますが、コミックだけでなく、佐竹雅昭主演による実写映画化やパチンコ化もされています。単行本はマガジンKCより全20巻、その後ワイドKC版と講談社漫画文庫版が全12巻で刊行されました（いずれも絶版）。現在では、講談社 KC On Demand にて全12巻の復刻版が購入可能です。

物語の前半部分は、新賀田県新賀田市という架空の県・市を舞台としていますが、これは作者である小林まことの出身地、新潟県新潟市がモデルとなっています。この架空の都市は、後の小林作品にも度々登場します。

連載当時、小林は週刊連載というタイトなスケジュールの中、毎回8日ペースで執筆を行っていたため、どうしても時間が足りませんでした。そのため、内容が薄く、明らかな手抜き作品を掲載せざるを得ないこともありました。小林は後年、この時期を振り返り、「ダメなときはダメなりにやるのではなく、誰が見てもダメとわかるダメな作品を載せた」と語っています。また、連載中に作者の急病を理由に10回ほど休載していますが、本当に急病だったのは『月刊少年マガジン』に「シロマダラ」を平行連載していた時期だけで、週に8時間睡眠という無理な執筆活動の結果、一週間寝込むほど体調を崩したことが理由だと語っています。

登場人物

続編『1・2の三四郎 2』にも引き続き登場する人物については、『1・2の三四郎 2』の項目も参照してください。分類は原則として初登場時の所属団体に準拠します。

主要人物

東三四郎（あずまさんしろう）
本作の主人公。天竜学園ラグビー部に所属していましたが、ある事件をきっかけに退部し、その後柔道部へ。ひょんなことから総合格闘部を設立し、プロレスラーを目指します。馬鹿力と石頭、そして自信過剰な性格が特徴です。プロレス好きで、アントニオ猪木を敬愛しています。

北条志乃（ほうじょうしの）
三四郎の同級生でヒロイン。容姿端麗で頭脳明晰ですが、字が下手でギャグキャラ的な一面もあります。格闘部のマネージャーを務めます。高校卒業後は保育士として働きながら、ひまわり軍団を支えます。

西上馬之助（にしがみうまのすけ）
三四郎の悪友で、大阪出身。レスリング部員で、後に格闘部に合流します。小柄ながらレスリングの技術は抜群です。卒業後は三四郎と共に桜五郎に弟子入りし、プロレスラーとなります。

南小路虎吉（みなみこうじとらきち）
三四郎の悪友。美術部員で漫画家志望ですが、格闘部にも所属しています。卒業後は保育士をしながら漫画家デビューを目指し、レスラーのトレーニングにも参加します。

天竜学園高校

新賀田市にある私立高校。ラグビー部の実力は県内でもトップクラス。

総合格闘部

柔道部、レスリング部、空手部の集合体。三四郎、馬之助、虎吉が中心となって設立されました。

参豪辰巳（さんごうたつみ）
三四郎の同級生。柔道の実力者で、インターハイでも上位に入るほど。格闘部では柔道の指導を行います。

岩清水健太郎（いわしみずけんたろう）
三四郎の同級生。志乃に一目惚れして格闘部に入部したいわゆるカメラ小僧。運動は苦手だが、隠し持った凶器を使うことも。

その他

多数の個性的なキャラクターが登場し、物語を彩っています。ラグビー部員、教師、生徒会役員、そしてプロレスラーなど、様々な立場の人物が三四郎たちの青春に関わっていきます。

映画

1995年には、市川徹監督、佐竹雅昭主演で実写映画化されました。

もう一度検索