10ナンバーズ・からっと

サザンオールスターズの2作目『10ナンバーズ・からっと』

『10ナンバーズ・からっと』は、サザンオールスターズが1979年に発表した2枚目のオリジナルアルバムです。この作品は、同バンドの音楽的成長を象徴する重要なアルバムであり、ファンの間でも特に愛されています。初めてのレコードが発売されたのは1979年4月5日で、以後もCDやデジタル配信を通じて再リリースがなされてきました。特に、1984年からはCDでの再発売も行われ、最新のストリーミングサービスにも対応しています。

背景と制作の状況

アルバム制作当時、サザンオールスターズは非常に多忙な日々を送っていました。100本近いライブや音楽番組への出演をこなしながら、アルバムのレコーディングを進める必要がありました。そのため、歌詞の決定が間に合わず、歌詞カードには「☆◎♂」などの記号で埋められた楽曲が存在しました。この3曲については、今でも正しい歌詞が公表されておらず、公式サイトでも確認できない状態です。噂によると、過激な内容が原因で歌詞の掲載ができなかったとも言われています。

桑田佳祐は、このアルバムに対して否定的な意見を持っていたとされ、当時の状況に不満を感じていたようです。彼は記号表記された歌詞について「面白くもなんともない」と述べていました。そんな中でも、1984年出版の桑田の著書では、訳ありで記号表記されていた楽曲の正確な歌詞が公開されています。

アルバムのリリースとその後

アルバムのリリースに関しては、初期の楽曲はバーニングが権利を持っており、プロデュースもバーニングプロダクションによるものです。1998年に初回限定盤としてオリジナルLP復刻版がリリースされた際には、ライナーノーツも付属して注目を集めました。再発売は1984年、1989年、1998年、そして2008年と続き、各時期に音質改善やリマスタリングも行われました。

収録曲について

本アルバムには、全ての曲が桑田佳祐の作詞・作曲によるものです。各楽曲には、特に注目すべき特色があります。たとえば、「お願いD.J.」の中には桑田が小林克也を演じるDJの語りが収録されており、非常にユニークな仕上がりになっています。また、「奥歯を食いしばれ」と「ブルースへようこそ」は記号表記されており、その歌詞は今でも謎のままです。「ラチエン通りのシスター」は桑田の実体験に基づいた曲であり、彼の思い出が詰まっています。

「思い過ごしも恋のうち」はシングルとして広まり、他のコンピレーション版にも収録されています。楽曲の多くは、その後のサザンオールスターズのスタイルを確立するものとして位置づけられ、特に「いとしのエリー」は名曲として知られています。

参加ミュージシャン

このアルバムには、桑田をはじめとするサザンオールスターズのメンバーが総力を挙げて参加しています。リードギターを担当した大森隆志や、キーボードの原由子、ベースの関口和之、ドラムスの松田弘など、豪華なラインナップが魅力です。また、ホーンセクションや特別ゲストも参加しており、音楽的な多様性が感じられます。

結論

『10ナンバーズ・からっと』は、サザンオールスターズの創造力と挑戦が詰まった作品です。歌詞の未掲載や多忙な制作背景を抱えながらも、彼らの音楽は多くのファンに支持され続けており、今後も語り継がれるであろう名盤といえるでしょう。

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