12 ラウンド

『12 ラウンド』（原題：12 Rounds）は、2009年にアメリカで公開された緊迫感あふれるアクション映画です。本作は、アメリカのプロレス団体「WWE」が自社のレスラーであるジョン・シナを主演に据え、製作を手がけた作品として知られます。日本では劇場公開されず、直接ソフト化されるビデオスルーという形式でリリースされました。国内でWOWOWで放送された際には、『12 ラウンド復讐のデスマッチ』という副題が付けられています。

ストーリー

物語は、ニューオーリンズ市警の刑事、ダニー・フィッシャーの活躍から始まります。ある夜、彼は長年追っていた凶悪な強盗犯、マイルズ・ジャクソンの逮捕に成功します。しかし、その逮捕劇の最中、マイルズの恋人であり共犯者のエリカが逃走を図った結果、不慮の交通事故に遭い命を落としてしまいます。この出来事が、後にダニーに降りかかる惨劇の発端となります。

逮捕から1年後、エリカの死に激しい憎悪を燃やすマイルズは、刑務所からの脱獄を決行します。そして、復讐の標的をダニーに定め、彼の最愛の妻モリーを誘拐します。マイルズはダニーに対し、驚くべき要求を突きつけます。それは、妻の無事な解放と引き換えに、ニューオーリンズの街中に自らが仕掛けた合計12個の「トラップ」を、制限時間内にクリアすることでした。爆弾や巧妙な罠など、街全体を舞台にした危険な試練が次々と課されます。もしダニーが指定された時間内にこれらの難題をクリアできなければ、妻モリーだけでなく、多くの罪のない市民の命も危険に晒されることになります。タイムリミットが刻一刻と迫る中、ダニーはマイルズによる狂気的なゲーム、通称「12ラウンド」を制するため、決死の闘いに身を投じることになります。

登場人物

本作を彩る主要な登場人物たちは以下の通りです。

ダニー・フィッシャー（演：ジョン・シナ）
ニューオーリンズ市警の敏腕刑事であり、本作の主人公。正義感が強く、職務に忠実である一方、仕事に没頭しすぎて家庭を顧みない一面も持ち合わせています。突如として理不尽なゲームに巻き込まれ、愛する妻を救うため、そして市民を守るために極限まで追い詰められながらも奮闘します。

マイルズ・ジャクソン（演：エイダン・ギレン）
ダニーが逮捕した凶悪な強盗犯。単なる泥棒に留まらず、武器密売や殺人など幅広い犯罪に関わる危険人物です。自身の恋人エリカの死に関与したダニーを激しく憎み、綿密に計画された復讐を仕掛けます。狡猾で知的な戦略を駆使し、ダニーや警察を翻弄する知能犯でもあります。

モリー・ポーター（演：アシュレイ・スコット）
主人公ダニーの妻。突然マイルズによって誘拐され、夫が過酷なゲームに参加させられる原因となります。ダニーにとって、彼女の無事は最大のモチベーションとなります。

ジョージ・エイキン（演：スティーヴ・ハリス）
長年にわたりマイルズ・ジャクソンを追い続けているベテランのFBI捜査官。マイルズの脱獄と新たな犯罪発生を受け、ダニーたちの捜査に協力します。

ハンク・カーヴァー（演：ブライアン・J・ホワイト）
ダニーの相棒刑事。ダニーの置かれた状況を理解し、彼をサポートします。ダニーとモリー夫婦の関係性にも気を配る、よき理解者です。

レイ・サンティアゴ（演：ゴンザロ・メネンデス）
ダニー、ハンクと共に事件解決にあたる刑事の一人です。

* エリカ・ケッセン（演：テイラー・コール）
マイルズの恋人であり、彼の犯罪における共犯者。物語の発端となる逮捕劇の際に、逃走中に発生した交通事故により命を落とします。彼女の死が、マイルズの復讐劇の引き金となります。

その他、日本語吹替版では、竹田雅則氏、田中晶子氏をはじめとする多数の声優陣が参加しており、高橋剛氏が演出、河野雅昭氏が翻訳、佐藤隆一氏が調整を担当し、ビデオテックが制作を手掛けています。

本作は、都市全体を巻き込んだサスペンスフルな展開と、ジョン・シナによる迫力のアクションが見どころの作品と言えるでしょう。

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