120mm迫撃砲 RT

120mm迫撃砲 RT （Mortier 120mm Rayé Tracté Modèle F1）

120mm迫撃砲 RTは、フランスのトムソン-ブラーント社によって設計された迫撃砲で、従来の軽榴弾砲と同等の長射程を誇ります。口径は120mmで、最大射程は約10数kmに達します。この砲は、特に移動と展開のしやすさが特徴であり、牽引車輪が装備されているため、迅速に配置できる点が優れています。実際、射撃時にタイヤを取り外す必要はありません。

開発と技術的特徴

元々トムソン-ブラーント社はタレス・グループとEADSの合弁企業でしたが、後にTDA社として独立し、現在はタレス・グループの完全子会社です。RTは107mm迫撃砲と同様にライフル砲身を持ちながら、牽引車両としての利便性が強化されています。これにより、砲兵トラクターに依存することなく、高機動車や他の軽量な車両で運用可能です。

撃針の後部は可動式であり、異なる射撃方法を選ぶことができます。撃針を前に出せば墜発式に、後退させれば拉縄式として発射ができます。この多様性は、運用環境に応じた精密な攻撃が可能であることを意味します。

採用国と運用状況

フランス

120mm迫撃砲RTは1980年代後半からフランス陸軍に導入され、主にVAB装甲車から派生したVTM-120牽引車によって運用されています。通常、砲兵連隊に8門ずつ配置されており、戦時には歩兵連隊に編成されて使用されます。この配置は、榴弾砲やMLRS（多連装ロケットシステム）の補完役として機能します。

アメリカ合衆国

アメリカ海兵隊も120mm迫撃砲RTに注目し、M327 EFSSという名で採用しました。このシステムはHIMARSやM777 155mm榴弾砲との相互補完を目的としていますが、運用面での課題から2017年に退役が告知されました。さらに、LAV-Mの後続モデルであるLAV-EFSSが開発されました。このモデルは自動装填装置を搭載し、発射速度を向上させています。

日本（陸上自衛隊）

日本陸上自衛隊では1992年から120mm迫撃砲RTを導入し、豊和工業がライセンス生産を行っています。牽引には高機動車が改造された重迫牽引車が使用され、現在も調達が続けられています。これにより、部隊内の最大火砲として多数の部隊に配備されています。

性能と仕様

120mm迫撃砲RTの重量は582kg、砲身長は2080mmです。俯仰角は30度から85度に調整可能で、射撃速度は通常時で6発/分、最大で20発/分に達します。また、榴弾だけでなく、対軽装甲弾や煙弾、照明弾など多様な弾薬を使用できます。

この砲は、特に緊急展開や機動戦において、その能力を最大限に発揮します。例えば、空輸においてはCH-47J/JA輸送ヘリコプターによって吊り下げられ、非常に迅速に展開できるため、戦場における即応性が高まります。

まとめ

120mm迫撃砲RTは、その高い機動性と詳細な性能により、複数の国で採用され、実戦でも有効な火力支援を提供しています。これにより、現代戦のさまざまなシナリオにおいて重要な役割を果たしています。

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