15の春

『15の春』は、荻野真が手掛けた歴史漫画作品です。集英社の『スーパージャンプ』にて、2010年から2011年にかけて全5回、不定期連載されました。単行本は全1巻で刊行されています。

作者の荻野真は、「曲神紀」の連載終了後、ジュブナイル作品を描きたいと希望しましたが、企画はなかなか採用されませんでした。そんな中、アメリカの歌手スコット・マーフィーが尾崎豊の「15の夜」をカバーした曲を聴いたことがきっかけとなり、本作の構想が生まれました。また、単行本発表時のコメントでは、自身の息子の受験問題も作品の着想に影響を与えたと語っています。

本作は、歴史上の人物を主人公としたオムニバス形式の物語です。空海、織田信長、ダーウィン、エカテリーナ2世、チンギス・カンの若き日の姿が描かれています。ただし、作中の描写は史実に基づきつつも、フィクションの要素が強く、歴史ファンタジーとして楽しむことができます。単行本化の際には、荻野自身による描き下ろしの2ページ漫画「15の春」が追加されました。

各エピソードのあらすじは以下の通りです。

空海: 15歳の佐伯真魚（空海の幼名）は、一族の期待を一身に背負い、勉学に励む日々を送っていました。そんな彼の心の拠り所は、身分違いの少女ヨモギとの交流でした。
織田信長: 天才を自称する信長は、その異才ゆえに周囲から「大うつけ」と呼ばれていました。そこに、「美濃のマムシ」と恐れられた斎藤道三の娘、濃姫が政略結婚のため嫁いできます。濃姫は母から形見として渡された志野焼の椀を持っていました。
ダーウィン: 後に『種の起源』を著し、進化論の礎を築くダーウィンも、17歳の頃は自分が何をすべきか分からず悩んでいました。エジンバラの大学教授の勧めで、イクチオサウルスの発見で知られる女性化石研究家、メアリー・アニングのもとを訪れることになります。なお、このダーウィン編のみ17歳時の物語であり、雑誌掲載時には表題に「+2」と添えられていました。
エカテリーナ2世: プロイセンからロシアに嫁いだゾフィー（後のエカテリーナ2世）は、女帝エリザヴェータからフランス文化に疎い田舎者扱いされていました。そんな彼女に、同じドイツ出身のミュンヒハウゼン男爵が知恵を授けます。
チンギス・カン: 裏切りによって父である王を殺され、一族と共に追放されたテムジン（チンギス・カンの本名）は、追っ手から逃れる道中、羊に乗った謎の老人ラムと出会います。単行本では、雑誌掲載時にはなかった狼への変身シーンが2ページ追加されています。

書誌情報

荻野真『15の春』集英社〈ジャンプコミックスデラックス〉、2011年。 全1巻
* 2011年5月7日発行（2011年5月2日発売）、ISBN 978-4-08-859885-7

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