1790年の相撲

1790年の相撲界：横綱誕生と興行の隆盛

1790年（寛政2年）は、相撲界にとって重要な転換期となりました。この年、江戸相撲において、後の相撲界に大きな影響を与える出来事が起こります。それは、谷風梶之助と小野川喜三郎という二人の関脇に、横綱の免許が与えられたことです。

横綱免許の誕生

1790年1月4日（旧暦寛政元年11月19日）、当時の江戸相撲において、関脇の地位にあった谷風梶之助と小野川喜三郎に横綱免許が授与されました。当時、大関は名誉的な地位であり、実質的な最高位は関脇でした。この横綱免許は、上覧相撲や寺社への奉納相撲でのみ行われていた特別な土俵入りを、一般の興行相撲でも行うことを認めるものでした。二人は1月14日（旧11月29日）の江戸相撲寛政元年11月場所7日目から、それぞれ単独で土俵入りを披露しました。これが、現在まで続く横綱制度の始まりとされています。

1790年の相撲興行

1790年には、江戸と大坂で複数の相撲興行が開催されました。

江戸相撲
3月場所: 深草八幡宮境内にて、5月5日（旧3月22日）より晴天10日間興行が行われました。
11月場所: 本所回向院にて、12月20日（旧11月15日）より晴天10日間興行が行われました。

大坂相撲
5月場所: 難波新地にて、7月7日（旧5月25日）より興行が行われました。

まとめ

1790年は、谷風と小野川という二人の力士に横綱免許が与えられ、相撲の歴史において大きな転換期となりました。また、江戸と大坂でそれぞれ興行が行われ、相撲が庶民の間で広く親しまれていたことがわかります。この年を境に、相撲はより組織化され、現代の相撲へと繋がっていくことになります。

参考文献

酒井忠正『日本相撲史 上巻』ベースボール・マガジン社、1956年6月1日。

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