小野川喜三郎

小野川喜三郎

概要

小野川喜三郎（おのがわ きさぶろう、1758年 - 1806年）は、江戸時代中期の著名な大相撲力士であり、第5代横綱に認定された存在です。近江国滋賀郡大津京町に生まれ、本名は川村喜三郎。相撲界では小野川部屋に所属し、師から引き継いだ四股名「小野川才助」でも知られました。彼は谷風梶之助とともに、寛政の時代における相撲の繁栄に貢献した偉大な力士であり、古今十傑の一人としても名高い存在です。

来歴

喜三郎は長じて小野川才助の養子となり、1776年に大阪相撲で初土俵を踏みました。1779年には江戸相撲に参入し、二段目筆頭にまで昇進しました。この時期、彼は久留米藩に抱えられ、赤羽根の小野川部屋で活動を行いました。

天明2年（1782年）には、大関・谷風との取組で見事に勝利を収め、谷風の63連勝を止めたことで大きな注目を浴びました。この勝利は相撲界の歴史に残る名勝負とされ、後に寛政元年に横綱免許を共に囚われ、横綱制度の始まりとして評価されています。

このようにして彼は横綱として活躍し、寛政3年には再び特別な場所で大観衆の前で谷風との名勝負を繰り広げました。しかし、寛政4年からは度重なる欠場が続き、最終的には1797年に相撲界を引退しました。

享和元年には師匠であり義父である初代小野川才助が亡くなり、喜三郎も約5年後の1806年に江戸で亡くなりました。彼の死去に伴い、しばらくの間、横綱経験者は不在の時代が続くこととなります。

人物像

小野川喜三郎は、力強い体躯や筋力を誇る谷風とは異なり、敏速な取組で知られ、技巧的なスタイルが特徴でした。大胆な作戦で立ち向かう姿勢が評価されたものの、その取り口が江戸庶民の人気を集めることは少なかったとされています。それでも彼は、谷風や雷電といった強豪の中で輝かしい成績を残し、今では「大相撲史上最強のナンバー2」と評されています。

主な成績

小野川喜三郎の幕内通算成績は144勝13敗4分と素晴らしいもので、勝率は0.917に達します。また、優勝相当の成績は7回にも及ぶことからも、彼の卓越した実力が伺えます。

文化的影響

喜三郎はその後、相撲絵や異話故事にも取り上げられるなど、文化的な影響も残しました。作品には相撲絵や講談が含まれ、彼の活躍は後の世代にも語り継がれています。特に、「有馬怪猫伝」などの怪異譚も彼の名を残す一因となっています。

結論

小野川喜三郎は、江戸時代の相撲界において不世出の力士とされ、相撲制度における画期的な存在でした。彼の生涯と業績は、現在も多くの研究や作品に取り上げられ、相撲ファンのみならず、日本の歴史と文化における重要な一ページを作り上げています。

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