1801年8月1日の海戦

1801年8月1日の海戦

1801年8月1日、リビアの海岸沖で行われた海戦は、アメリカ海軍とトリポリの軍艦との間の一騎討ちとして有名です。この戦闘は、第一次バーバリ戦争の最中に発生し、アメリカ海軍のスクーナー「USSエンタープライズ」がトリポリタニアのポラッカ「トリポリ」と交戦しました。

戦の背景

アメリカ合衆国は1783年に独立を達成したものの、地中海における商船の安全を確保するため、時には通行料を支払わなければならない状況にありました。特にトリポリは、オスマン帝国の影響下でありながらも、自ら外交的立場を築いており、非イスラム教国に対して通行料を取得するために武力行使をためらわない地域でした。1801年、アメリカ合衆国が新たに獲得した権利をめぐって、トリポリ政府からの通行料要求が急増しました。トーマス・ジェファーソン政権は、これに反対し通行料の支払いを拒否。この結果、トリポリはアメリカに宣戦布告し、アメリカ船を襲撃しました。

これを受けて、アメリカ海軍はトリポリに対する軍事行動を決定しました。リチャード・デイル准将率いる戦隊が派遣され、トリポリの海上封鎖を行うことになりました。およそ6月から始まったこの作戦では、物資が不足し始め、アンドリュー・スターレット大尉が指揮する「エンタープライズ」が物資補給のためにマルタに向かうことが指示されました。

戦闘の開始

「エンタープライズ」は、任務を遂行する途中でトリポリのクルーザーである「トリポリ」と遭遇しました。スターレットは、イギリスの国旗を掲げる偽旗作戦を展開し、トリポリに近づきました。接近した際、相手がアメリカ船を探しているという情報を得たスターレットは、即座にアメリカの国旗を掲揚し、戦闘が開始されました。

開始早々、エンタープライズからの銃撃がトリポリに浴びせられ、トリポリも反撃を開始しました。この戦闘は3時間に及び、両艦ともに砲撃を交えつつ激しい攻撃を繰り広げました。しかし、アメリカ側は戦術の優位性を保ち続け、「トリポリ」は壊滅的な被害を受ける一方で、エンタープライズの損失はほとんどありませんでした。

戦闘の結末とその影響

最終的に、「トリポリ」は降伏の意思を示しましたが、再度攻撃を試みるも、エンタープライズの猛攻により撃退されました。トリポリは国旗を降ろし、乗組員の多くが戦死するという壊滅的な結果に終わり、彼らの指揮官ラウス提督は捕虜となることを免れました。

戦闘の後、スターレットは「トリポリ」を捕獲したものの、戦利品として曳航する命令が出ていなかったため、そのまま解放しました。しかし、トリポリは航行不能な状態にされ、アメリカ海軍はマルタに向かいました。その後の報告により、アメリカ政府は宴会を開き、成功を祝いました。この勝利はアメリカ海軍にとって士気を大いに高めるものとなり、アメリカ合衆国の外交政策にも重要な影響を与えることが期待されました。

一方、トリポリでは厳罰が待っており、ラウスは無様な敗北を理由に非難され、結果的に士気は大きく低下しました。この戦闘はトリポリタニアにおけるアメリカ合衆国の初の勝利とされ、戦争は未だ決着がつかない状態が続く一方で、アメリカの士気と団結は高まりを見せました。戦闘のその後も、アメリカ合衆国とトリポリの関係は複雑なものとなり、戦争はさらに4年続くことになるのです。

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