第一次バーバリ戦争

第一次バーバリ戦争の概要

第一次バーバリ戦争（1801年 - 1805年）は、アメリカ合衆国と地中海北部の北アフリカ地域、特にトリポリの間で繰り広げられた戦争です。この戦争は、アメリカ独立後に初めて公式に宣戦布告された対外的な軍事行動でした。アメリカは、バルバリア海賊による商船の襲撃と高額な通行料の要求に対抗して、軍事的な措置を講じることとなりました。

背景

この時期、北アフリカはオスマン帝国の影響下にある独立した自治州であるバルバリア諸国によって支配されていました。特にトリポリ、チュニス、アルジェの三国は、商船から通行料を徴収し、さらに襲撃によって人質を取って身代金を要求するという海賊行為を行っていました。そして、アメリカは独立直後からこの海賊行為の影響を受け、通行料の支払いが財政を圧迫していくことになります。

トーマス・ジェファーソンが大統領に就任した際、彼はこの状態に対して見直しを図り、支払いを拒否する方針を打ち出しました。これにより、アメリカの商船はバルバリア海賊の襲撃のターゲットとなってしまいました。

交渉から戦争へ

アメリカ政府が通行料の支払いを拒否した結果、トリポリのパシャたちはアメリカに対し滞納金の支払いを求める連名の要求を送りましたが、アメリカ側は断固として拒否しました。その後、アメリカ海軍は艦隊を派遣し、海上封鎖を行うなどの対抗策を講じますが、状況は緊迫化し、1801年にはアメリカの国旗がトリポリで侮辱され、緊張が高まりました。

この争いは、正式に開戦に発展し、アメリカ海軍とトリポリ側との間で衝突が起こります。初戦となった1801年8月1日の海戦では、アメリカ海軍が勝利を収めるものの、トリポリは依然としてアメリカの商船を襲い続けました。

戦局の推移

1803年、アメリカ海軍は艦隊を増強し、指揮官プレブルのもとでトリポリの要塞に対する艦砲射撃を行います。しかし、効果的な戦果を挙げることができず、この状況に対しウィリアム・イートン将軍が直轄の部隊を派遣し、地上からの攻撃を図る作戦を提案しました。彼はエジプトの港に上陸し、反トリポリの傭兵を組織して攻勢に出ることとなります。

そして、1805年4月27日、アメリカ海兵隊と傭兵隊は、トリポリの拠点であるダーネに到達し、突入を果たして要塞を占領します。この勝利は戦勢を有利に進展させ、交渉が再開されることとなります。

終結とその後

1805年6月10日、戦争は講和条約の締結によって終結しました。この条約により、トリポリはアメリカの商船に対し通行料を課さないことを約束しました。戦後、アメリカは北アフリカ、中東のイスラム諸国に対する外交方針を見直し、バーバリ海賊に対しても強硬姿勢をとるようになります。

第一次バーバリ戦争は、アメリカ合衆国が国際的な立場を確立する上での重要な出来事となり、アメリカ海兵隊の歴史の中でも特に意義深い戦争とされています。

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