1841年ジョン・タイラー大統領就任式

ジョン・タイラーの就任式とアメリカの大統領の先例

1841年4月6日、ジョン・タイラーはアメリカ合衆国第10代大統領として臨時の就任式を行いました。この就任式は、前任者であるウィリアム・ヘンリー・ハリソンの死後わずか2日後に行われたもので、アメリカの歴史において初のケースでした。これにより、タイラーは彼自身の初めての大統領任期を開始しました。

背景

1840年のアメリカ合衆国大統領選挙において、ホイッグ党のハリソンが当選し、タイラーは副大統領に選ばれました。ハリソンは1841年3月4日に就任したものの、わずか数週間後に病気にかかり、最終的には肺炎と胸膜炎が引き金で亡くなりました。彼の病気は、就任式当日の悪天候が影響していると考えられていましたが、実際に発病したのはそれからかなりの時間が経った後でした。

4月1日、国務長官ダニエル・ウェブスターがタイラーにハリソンの重体を知らせ、2日後にはハリソンの死を予感させる情報がタイラーに届きました。タイラーは彼の死を予見していたため、わざわざワシントンに向かうことはしませんでしたが、4月5日朝、彼の元にハリソンの死を伝える使者が到着しました。これを受けて、タイラーは急いでワシントンD.C.に向かうことにしました。

タイラーの移動と状況

タイラーは急いで荷物をまとめ、息子を伴って重い交通手段の中から蒸気船と列車を利用し、220マイルの道のりを21時間かけてワシントンに向かいました。ハリソンの死後の対応については、いくつかの異なる意見が交わされていましたが、タイラーは自身が大統領としての権限を確保したいと考え、就任宣誓の重要性を認識していました。

就任宣誓

1841年4月6日、ブラウンズ・インディアン・クイーン・ホテルでタイラーの就任式が行われました。この儀式は、合衆国巡回裁判所長官ウィリアム・クランチの手により執行され、タイラーにとって初の大統領としての瞬間が訪れました。そして、彼は公式に第10代大統領としての任務を開始することとなりました。4月9日には、ハリソンが開会した臨時議会に向けて就任メッセージを発表し、以降の大統領もこの慣行を受け継ぐことになります。

先例の確立

就任後、タイラーは「副大統領」や「大統領代行」という肩書きに固執し、これらの呼称が付けられた手紙は開封されずに返送されることとなりました。この「タイラーの先例」は、その後7人の大統領の任期中における死（うち4人は暗殺）を経て、1967年に憲法修正第25条が批准されるまで続きました。これにより、アメリカ合衆国における大統領職の後継者の明確なルールが確立されることになったのです。

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