1887年全米選手権 (テニス)

1887年全米選手権

1887年はテニス界において重要な年となり、この年から全米選手権に女子シングルスが正式に導入されました。女子シングルス部門には7名の選手が参加し、全米選手権の新たな歴史が始まりました。また、2年後には女子ダブルスも追加され、1892年からは混合ダブルスが大会に含まれるようになります。このように、全米選手権は時を経て、多様な競技を取り入れていくこととなりました。

1881年から1967年まで、全米選手権では各部門ごとに異なる名称を持つと同時に、異なるテニスクラブで開催されるという独特な形式が採られていました。男子シングルスは「全米シングルス選手権（U.S. National Singles Championship）」と呼ばれ、最初の会場として選ばれたロードアイランド州のニューポート・カジノで行われました。男子ダブルスは「全米ダブルス選手権（U.S. National Doubles Championship）」で、ニュージャージー州のオレンジ・テニスクラブが会場に使用されました。また、女子シングルスはペンシルベニア州フィラデルフィア・クリケット・クラブで開催されました。

男子シングルスの競技方式には「チャレンジ・ラウンド」と「オールカマーズ・ファイナル」が導入されており、1884年からその形式が採用され続けていました。チャレンジ・ラウンドは、前年度の優勝者を除いた選手が参加し、勝者が前年度優勝者への挑戦権を得る仕組みでした。この方式は1878年の第2回ウィンブルドン選手権で初めて用いられ、全米選手権でも引き続き採られることになりました。全米選手権では、チャレンジ・ラウンド以降、すべての試合が最大5セット・マッチで行われ、セットは基本的に一方が2ゲーム勝ち越すまで続けるルールが適用されました。ただし、女子シングルスでは一時期「6-5」の状態でセットを終了するルールもありました。

大会の優勝者は以下の通りです。

男子シングルス

• - チャレンジラウンド準々決勝 では、ジョセフ・クラークがフレッド・マンスフィールド、ヘンリー・スローカムがジョージ・フィアリング、ハワード・テーラーがフィリップ・シアーズ、ウィリアム・サッチャーがゴッドフリー・ブリンリーをそれぞれ下しました。

• - 準決勝 では、ヘンリー・スローカムがジョセフ・クラークを、ハワード・テーラーがウィリアム・サッチャーを破って決勝に進出しました。

• - 決勝 では、ヘンリー・スローカムがハワード・テーラーに勝利し、その後のオールカマーズ決勝でもリチャード・シアーズがヘンリー・スローカムを下し、本大会の優勝者となりました。これにてシアーズは1881年以来7連覇を果たしました。

女子シングルス

• - 1回戦 では、エレン・ハンセルがジェシー・ハーディング、ヘレン・デイ・ハリスがルイーズ・アルダーディス、ローラ・ナイトがルース・コットを下し、アリス・ジャニーは対戦がなく準決勝へ進みました。

• - 準決勝 では、エレン・ハンセルがヘレン・デイ・ハリス、ローラ・ナイトがアリス・ジャニーをそれぞれ破り、決勝進出を決めました。

• - 決勝 では、エレン・ハンセルがローラ・ナイトに勝利し、初の女子シングルスチャンピオンとなりました。

このように1887年の全米選手権は、新たな競技種目の導入により、テニスの多様性を示すと同時に、選手たちの競技スタイルの進化が見られた年でもありました。

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