1888年アメリカ合衆国大統領選挙

1888年アメリカ合衆国大統領選挙の概要

1888年11月6日に行われた第26回アメリカ合衆国大統領選挙は、現職の大統領グロバー・クリーブランドと共和党のベンジャミン・ハリソンとの間で争われました。この選挙は、一般投票ではクリーブランドが上回ったものの、選挙人投票でハリソンが勝利するという、非常に興味深い結果をもたらしました。これは、12年前の1876年の選挙でも同様の現象が見られました。

候補者の指名

共和党の指名

共和党では、インディアナ州出身の元上院議員ベンジャミン・ハリソンが候補として指名されました。彼はシカゴで行われた全国大会で554票を獲得し、ジョン・シャーマンやラッセル・アルジャーを下しました。また、副大統領候補には財務家のリーヴァイ・モートンが選ばれました。

民主党の指名

民主党はミズーリ州のセントルイスで会合を開き、クリーブランド大統領を再指名しました。副大統領候補にはオハイオ州のアレン・G・サーマンが選ばれ、684票を獲得しました。

選挙運動と主な議題

クリーブランドは、関税の大幅な削減を選挙戦の中心テーマとしました。彼は高い関税が不公平な課税であり、低所得層に影響を与えると主張しました。一方で共和党は、関税がアメリカの産業を国際競争から守ると反論しました。この議論には長い歴史があり、双方の支持者を熱心に巻き込む要因となりました。

ハリソンは積極的な選挙運動を展開し、国内で多くの演説を行いましたが、クリーブランドは選挙運動を控える伝統に従っていました。この結果、クリーブランドは宣伝力でハリソンに後れを取ることになりました。

不正行為とその影響

選挙過程では、特にインディアナ州での不正投票が問題視されました。共和党の財務官が不正投票を指示したとされ、大きな物議を醸しました。また、投票日の2週間前に公開された「マーチソン・レター」は、クリーブランドへの支持を示唆する内容だったため、アイルランド系アメリカ人に混乱をもたらしました。

選挙結果

結果として、クリーブランドは一般投票でハリソンに勝ったものの、選挙人投票ではハリソンが233票対クリーブランドの168票で勝利しました。この選挙は、史上数少ない一般投票で敗北した大統領候補の一人、クリーブランドを生むこととなりました。彼はこの選挙結果を受け、4年後に再びホワイトハウスに戻ることになります。

接戦の州

選挙結果では、特に接戦の州が多く見られました。コネチカット州など、わずかな差で勝敗が決まる州がいくつもあり、選挙の結果は全体の票数からのみならず、州ごとの獲得票数に大きく依存していました。

文化的影響

この選挙は、1968年に制作されたミュージカル映画『The One and Only, Genuine, Original Family Band』の題材となるなど、アメリカの文化にも影響を与えました。1888年の大統領選挙は、アメリカ政治史における重要な一幕として、後の世代にも強いインパクトを残しました。

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