1889年全米選手権 (テニス)

1889年 全米選手権の概略

1889年の全米選手権は、テニスの歴史において特に重要な意味を持つ大会となりました。この年、女子ダブルスが正式に競技に加わり、男女両方のシングルスにおける大会形式も注目されました。アメリカでのテニス競技が多様化していく中で、全米選手権はその中心的な役割を果たしていました。

大会の流れと新ルールの導入

1881年から1967年まで、全米選手権は各部門ごとに異なる名称と開催地を持っており、これが他の三大大会との大きな違いです。この年の大会は以下のように構成されました。

• - 男子シングルス: 全米シングルス選手権 (U.S. National Singles Championship) で、開催地はロードアイランド州のニューポート・カジノ。
• - 男子ダブルス: 全米ダブルス選手権 (U.S. National Doubles Championship) で、ニューヨーク州のスタッテンアイランド・クリケット・クラブにて行われました。
• - 女子シングルス: 全米女子シングルス選手権 (U.S. Women's National Singles Championship) と女子ダブルス: 全米女子ダブルス選手権 (U.S. Women's National Doubles Championship) は、ペンシルベニア州のフィラデルフィア・クリケット・クラブが会場となりました。

特筆すべきは、男女シングルスにおける「チャレンジ・ラウンド」と「オールカマーズ・ファイナル」という決勝戦の形式です。チャレンジ・ラウンドでは前年の優勝者を除く選手が出場し、彼らの中から勝者が選ばれます。前年の優勝者はそのままオールカマーズ・ファイナルに進むことができます。これにより、前年のチャンピオンに挑む他の選手との熱闘が見られるのです。

競技ルールと試合形式

この大会では、基本的にはウィンブルドン選手権のルールを参考にしつつ、各種の違いを見せました。男子シングルスでは、1回戦から最大5セットの試合形式が採用され、アドバンテージ・セットが用いられました。一方、女子シングルスでは、アドバンテージ・セットがオールカマーズ・ファイナルでのみ適用され、チャレンジ・ラウンドでは6-5のカウントでセットが成立しました。

大会結果と注目選手

大会の結果は以下の通りです。

男子シングルス

チャレンジ・ラウンド: 最終的にクインシー・ショーが決勝に進出し、ヘンリー・スローカムとの対戦で優勝を果たしました。

女子シングルス

チャレンジ・ラウンド: リダ・ブーヒーズが勝ち進み、最終的にはバーサ・タウンゼントとの激しい試合を制し、優勝を飾りました。

男子ダブルス

決勝: ヘンリー・スローカム＆ハワード・テーラー組がオリバー・キャンベル＆バレンティン・ホール組に勝利を収めました。

女子ダブルス

決勝: バーサ・タウンゼントとマーガレット・バラード組がマリオン・ライト＆ローラ・ナイト組に勝利し、輝かしい成績を残しました。

まとめ

1889年の全米選手権は、テニス史上の一大イベントであり、女子ダブルスが加わったことで競技の幅が広がりました。また、男女シングルスの決勝戦も観客を魅了する精彩を放ちました。この大会を通して、テニスの新しい時代が幕を開けたとも言えるでしょう。

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