1891年のメジャーリーグベースボール

1891年のメジャーリーグベースボール：激動と再編の年

1891年は、メジャーリーグベースボール（MLB）にとって大きな転換期となった年でした。アメリカン・アソシエーション（AA）が解散し、ナショナルリーグ（NL）が勢力を拡大。球界全体が大きく揺れ動きました。

リーグの勢力図

ナショナルリーグ: ボストン・ビーンイーターズ（後のブレーブス）が8年ぶり4度目の優勝。この年からリーグ3連覇を達成し、1880年代には5度の優勝を飾る黄金時代を築きました。
アメリカン・アソシエーション: ボストン・レッズが前年のプレイヤーズ・リーグ優勝に続き、AAでも優勝。しかし、この年限りでAAは解散となり、レッズの活躍も幻となりました。

アメリカン・アソシエーションの終焉

AAは、プレイヤーズ・リーグの影響を受けた波乱の1年となり、運営破綻を迎えました。

ボストン・レッズの躍進: 前年のプレイヤーズ・リーグ優勝チームを母体とし、キング・ケリー監督の下、チャールズ・ラドボーン、ビル・デイリーら強力な投手陣、ダン・ブローザース、ハーディー・リチャードソンら俊足の打者が揃い、AAでも圧倒的な強さを見せました。ダン・ブローザースが首位打者を獲得、ヒュー・ダフィー、ファレルが最多打点を記録、トム・ブラウンは189安打、177得点、106盗塁という驚異的な成績を残しました。しかし、球団経営は苦しく、AA全体の赤字経営を象徴する存在となりました。

ナショナルリーグとの軋轢

プレイヤーズ・リーグ解散後、選手の引き抜きを巡り、NLとAAの対立が激化しました。

フィラデルフィアを巡る騒動: プレイヤーズ・リーグのフィラデルフィア・クエーカーズがAAに加盟する際、既存のフィラデルフィア・アスレチックスを吸収合併。しかし、旧アスレチックスの選手がNLの球団に移籍したことが発端となり、両リーグ間で選手保有権を巡る争いが勃発しました。調停委員会の裁定によりNLが選手の保有権を得ましたが、ファンからの批判も多く、両リーグの溝は深まりました。
シンシナティ問題: AAは、NLにフランチャイズ権があったシンシナティに新球団を加盟させ、対抗姿勢を鮮明にしました。しかし、シンシナティ・ポーカーズはシーズン途中で破綻し、ミルウォーキー・ブルワーズが代わりに加盟するなど、混乱が続きました。この影響から、ポストシーズンの全米選手権（19世紀のワールドシリーズ）も開催されませんでした。

球界再編へ

シーズン終了後、NLはAAの経営難に乗じて、リーグ合併を提案。AAの4球団を吸収し、残りの4球団を売却することで合意しました。これにより、AAは10年の歴史に幕を閉じ、ボルチモア・オリオールズ、ワシントン・セネタース、セントルイス・ブラウンズ、ルイビル・カーネルズがNLに移籍。NLは12球団体制となり、その体制は1999年まで続くことになります。

ボストン・レッズは、NLにボストン・ビーンイーターズが既に存在したため、NLへの参加を拒否され解散。オーナーはNLから和解金を受け取りました。また、キング・ケリーはシンシナティ・ポーカーズを経て、NLのボストン・ビーンイーターズに移籍するなど、選手の動きも活発化しました。

技術革新と規則改正

キャッチャーミットの進化: 捕手用ミットの改良が進み、大型化されたパッド付きミットがこの年に正式に許可されました。
選手交代の自由化: 試合中の選手の交代がいつでも可能になり、戦術の幅が広がりました。

記録と個人タイトル

チャールズ・ラドボーンが史上4人目の300勝を達成しました。
* (個人タイトルに関する詳細な情報は、提供された資料には記載されていません。)

1891年は、MLBの歴史において、リーグの勢力図が大きく塗り替えられ、球界再編へと繋がる重要な年となりました。

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