19回目の神経衰弱

ローリング・ストーンズの楽曲「19回目の神経衰弱」(19th Nervous Breakdown)は、1966年に発表されたロック・ナンバーです。作詞作曲はミック・ジャガーキース・リチャーズによる共作。疾走感あふれるシャッフルビートが特徴的で、聴く者の心を躍らせるハイテンポなサウンドが魅力となっています。

この曲は、1965年12月、『アフターマス』のレコーディングセッション中に制作されました。タイトルの『19回目の神経衰弱』は、当時アメリカで行われていた長期にわたるコンサートツアーの過酷さを表現していると言われています。想像を絶するハードスケジュールと、熱狂的なファンからの圧倒的なエネルギーが、楽曲に独特の緊張感と興奮を与えているのかもしれません。

楽曲の構成は、ストーンズの楽曲の中でも特に印象的です。イントロから一気に畳み掛けるような勢いは、まさにストーンズのエネルギーそのもの。そして、特徴的なシャッフルビートは、聴く者の体を自然と揺らさせます。楽曲全体を貫く、リフの繰り返しと、シャッフルビートの組み合わせは、シンプルな構成でありながら、その中毒性でリスナーを惹きつけます。

特に注目すべきは、エンディング部分でのビル・ワイマンのベースプレイです。通常、比較的控えめな演奏が多い彼ですが、この曲では珍しいほど派手な、そして力強いベースラインが聴けます。楽曲全体の雰囲気を盛り上げるだけでなく、終盤の盛り上がりをさらに高める重要な役割を果たしています。

興味深い点として、この曲のステレオ・ミックスバージョンは、公式にはリリースされていません。モノラル音源しか存在しないという事実は、当時のレコーディング技術や、音楽業界の状況を反映していると言えるでしょう。モノラルならではの力強さが、この楽曲の魅力をさらに際立たせているのかもしれません。

『19回目の神経衰弱』は、ライブでも頻繁に演奏されており、その熱狂的なライブパフォーマンスも有名です。ライブ・アルバムガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』には、1966年10月、ニューカッスル・アポン・タインでのライブ音源が収録されています。このライブ音源は、スタジオ録音とはまた違った、生々しいエネルギーと迫力を感じさせてくれます。さらに、多くのコンピレーションアルバムにも収録されており、その人気と影響力の大きさを示しています。

このように「19回目の神経衰弱」は、シャッフルビートの疾走感、ビル・ワイマンの意外なベースプレイ、そして公式にステレオミックスが存在しないという点など、様々な角度から興味深い楽曲です。単なるロックナンバーとしてだけでなく、60年代の音楽シーンやローリング・ストーンズの歴史を理解する上で、重要な一曲と言えるでしょう。この楽曲を通して、ローリング・ストーンズの音楽性、そして60年代の音楽シーンを深く知ることができるはずです。

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