1900MHz帯

1900MHz帯は、具体的には1879MHzから1920MHzの範囲の周波数帯を指します。この周波数帯は、様々な無線通信技術で利用されており、その用途は多岐にわたります。

日本における1900MHz帯の利用

日本国内では、1900MHz帯は主に以下の用途で利用されてきました。

DECT (Digital Enhanced Cordless Telecommunications)：2010年10月より、DECT方式のコードレス電話にこの周波数帯が利用されるようになりました。これにより、家庭やオフィスでのコードレス通話がより高品質かつ安定的に行えるようになりました。
PHS (Personal Handy-phone System)：1995年から公衆PHSサービスが開始され、広く利用されました。PHSは、低コストで携帯電話に近いサービスを提供し、一時は多くのユーザーに利用されましたが、2000年代後半頃から、利用者の減少や携帯電話の普及に伴い、各事業者によるサービス終了が相次ぎました。2023年3月には、最後の公衆PHSサービスが終了し、PHSの歴史は幕を閉じました。
ローカル5G SA方式におけるアンカーバンド：近年では、SA(スタンドアローン)方式のローカル5Gにおいて、アンカーバンドとして1900MHz帯が活用されています。アンカーバンドとは、5G通信を行う際に必要な制御信号を送受信するための周波数帯であり、1900MHz帯は、この重要な役割を担っています。これにより、特定の地域や施設内で、より高速で安定した5G通信が実現されています。

海外における1900MHz帯の利用

海外、特に中国においては、1900MHz帯がLTE(Long Term Evolution)通信に広く利用されています。

中国でのLTE利用：中国では、大手通信事業者であるチャイナモバイルがLTE通信に1900MHz帯を利用しており、9億人以上のユーザーがこの周波数帯を使用しています。多くのグローバル端末がこの周波数帯に対応しており、国際的なローミングにも利用されています。

1900MHz帯の技術的な側面

1900MHz帯は、その周波数特性から、比較的広範囲をカバーしやすく、屋内での利用にも適しているとされています。このため、コードレス電話やPHSのような、屋内外での利用が多い通信サービスに適していました。また、LTEやローカル5Gのように、高速データ通信を必要とする用途にも対応できる柔軟性を持っています。

1900MHz帯の今後の展望

1900MHz帯は、今後もローカル5Gやその他の無線通信技術において、重要な役割を担うと考えられます。特に、ローカル5Gにおいては、企業や自治体が自らのニーズに合わせてネットワークを構築できるため、より柔軟な活用が期待されます。また、IoT（Internet of Things）デバイスの普及に伴い、1900MHz帯がIoT通信に利用される可能性も考えられます。

このように、1900MHz帯は過去から現在に至るまで、様々な通信サービスを支えてきた重要な周波数帯であり、今後もその活用が期待されます。

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