1909年ウィリアム・タフト大統領就任式

ウィリアム・ハワード・タフトの就任式

1909年3月4日、ウィリアム・ハワード・タフトが第27代アメリカ合衆国大統領として就任しました。この就任式はワシントンD.C.のアメリカ合衆国議会議事堂で開催されましたが、前日の吹雪の影響で通常行われるイーストポルティコではなく、屋内の上院議場が式場として選ばれました。

この日は31回目の大統領就任式であり、タフトと共に副大統領に就任したのはジェームズ・S・シャーマンでした。しかし、シャーマンは就任から約3年後に亡くなり、その後の副大統領の職は空席となってしまいます。実際、シャーマンは1967年に批准された修正第25条以前に任期途中で退任した最後の副大統領でもあります。2024年10月時点で、任期中に亡くなった最新の副大統領という記録も持っています。

就任式とその準備

就任式の開催日前夜、ワシントンD.C.には10インチも雪が降り積もりました。そのため、式場は急遽変更され、上院議場で行われることとなりました。この日の大統領就任宣誓は、最高裁判所長官のメルヴィル・フラーによって執り行われましたが、フラーは宣誓文を誤って読み上げるというハプニングがありました。タフトは、1世紀前の最高裁判所の聖書を用いて宣誓を行いました。この聖書は、タフトが後に最高裁判所長官として宣誓する際にも使用された重要なものでした。

悪天候にもかかわらず、就任を祝う記念パレードは中止されませんでした。市職員約6000人が500台のワゴンを使って、なんと58,000トンもの雪を取り除き、パレードのルートを整備しました。この就任式では、初めて夫と共に次期ファーストレディ（ヘレン・ヘロン・タフト）が議事堂からホワイトハウスまでのパレードを先導しました。パレード中にはアーサー・ホワイティングの合唱曲「Our Country」が演奏されたと言われています。

就任祝賀会

式典当日の夜には、年金会館で就任祝賀舞踏会が開催されました。次期大統領であるウッドロウ・ウィルソンは、舞踏会の開催について更なるアナウンスを行ったものの、1949年のハリー・S・トルーマンの2回目就任式までこの公式舞踏会の伝統は中断されることとなります。

タフトの就任式は、その特異な状況と多くの出来事から、アメリカの歴史において重要な意味を持つものとなりました。特に、悪天候にもかかわらず、多くの人々が参加し、タフトとシャーマンの新たな政権の誕生を祝ったことが印象的です。

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