1912年ストックホルムオリンピックの日本選手団

1912年ストックホルムオリンピック 日本選手団

1912年ストックホルムオリンピックは、日本が初めてオリンピックに参加した歴史的な大会です。1912年（明治45年）5月5日から7月27日にかけて開催され、日本からは選手2名、役員2名が参加しました。

大会概要

日本代表選手を選考するための予選会は、「国際オリムピック大会選手予選会」という名称で、1911年（明治44年）11月18日・19日に羽田運動場で開催されました。この予選会の結果、100m・200メートル・400メートル・800メートルで優勝した三島弥彦、マラソンで優勝した金栗四三、そしてマラソンで2位・3位となった佐々木正清と井手伊吉などが候補として残りました。

最終的に、ストックホルムオリンピックに参加したのは、三島弥彦と金栗四三の2名でした。役員としては、嘉納治五郎と大森兵蔵が参加。この選手団の規模は、日本のオリンピック選手団としては2019年現在で最小です。監督を務めた大森兵蔵には、妻の安仁子が同行しました。

選手が2名のみとなった背景には、渡航費用を捻出できなかったという事情があります。選手の自己負担となったため、実家が資産家であった三島弥彦が参加できた要因の一つとなりました。三島は実際に3500円を持参しています。一方、資産が乏しかった金栗四三は、兄から「田畑を売ってでも工面する」と励まされましたが、最終的には東京高等師範学校の仲間からの寄付などで1500円をまかない、自己負担は300円で済んだそうです。

入場行進時のプラカード表記は「NIPPON」でした。金栗四三は「日本」という漢字表記を主張しましたが、大森兵蔵は「JAPAN」を主張。最終的に、嘉納治五郎が提案した折衷案として「NIPPON」が採用されました。「NIPPON」表記はこの大会のみで、以降のオリンピックでは全て「JAPAN」となっています。

選手団は1912年5月16日に新橋駅を出発し、敦賀で下車。そこから船でロシアのウラジオストクに渡り、シベリア鉄道でセントピーターズバーグ（サンクトペテルブルク）まで移動し、さらに船でストックホルムへ向かいました。ストックホルムに到着したのは6月2日で、開会式の約1か月前でした。

残念ながら、日本はメダルを獲得することはできませんでした。これは、日本が出場した夏季オリンピックにおいて唯一のメダル無しという結果となっています。

種目別選手、スタッフ名簿および成績

役員

団長: 嘉納治五郎
監督: 大森兵蔵

陸上競技

男子
三島弥彦（東京帝大）
100m: 1次予選敗退（16組5着、11秒8、自己新）
200m: 1次予選敗退（13組4着、24秒台）
400m: 準決勝棄権（予選は4組2着）
金栗四三（東京高師）
10000m: 棄権（出場せず）
マラソン: 途中棄権（棄権の意思が運営側に伝わらず、行方不明扱いとなる。55年後の記念式典でゴールし、54年8ヶ月6日5時間32分20秒3とアナウンスされた。）

もう一度検索