1938年のル・マン24時間レース

1938年、フランスのサルト・サーキットは、世界中のモータースポーツファンが熱視線を送る舞台となりました。15回目を迎えたル・マン24時間レースが、6月17日から18日にかけて開催されたのです。

この年のレースには、42台ものマシンがエントリー。その多くはフランス車であり、母国開催のレースで栄光を掴むべく、各チームがしのぎを削りました。24時間という過酷なレースを戦い抜き、完走を果たしたのは15台のみ。熾烈な競争とマシンの信頼性の高さが問われた大会であったと言えるでしょう。

そして、栄冠を手にしたのは、ユジューヌ・シャボーとジャン・トレムレ組がドライブする、15号車ドライエ・135CSでした。彼らは24時間で3180.940kmを走り抜き、平均速度132.539km/hという驚異的な記録で優勝を飾りました。2位にも、同じドライエ・135CSの14号車が入り、ドライエの圧倒的な強さが証明された大会となりました。

このドライエ・135CSは、当時としては最先端の技術が投入されたマシンでした。軽量かつ高出力なエンジン、そして空力性能にも優れたボディワークは、長時間のレースでも高いパフォーマンスを維持する上で大きなアドバンテージとなりました。シャボーとトレムレの卓越したドライビングテクニックも相まって、見事な勝利を収めたのです。

1938年のル・マン24時間レースは、フランス車の優勢、そしてドライエ・135CSの圧倒的な性能が印象に残る大会となりました。過酷なレースを戦い抜いた15台の完走車、そして優勝チームの輝かしい功績は、モータースポーツ史に永遠に刻まれることでしょう。

このレースを振り返る上で欠かせないのが、当時の技術革新と、それを操るドライバーたちの高い技量です。過酷なレース環境下で、マシンとドライバーが一体となって成し遂げた偉業は、現代のモータースポーツにも大きな影響を与え続けています。

数々の名車がしのぎを削ったこのレースは、多くの文献に残されています。『ルマン 伝統と日本チームの戦い』(グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2)、ドミニク・パスカル著、日沖宗弘訳『ル・マンの英国車』(ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-068-8)、黒井尚志『ルマン 偉大なる草レースの挑戦者たち』(集英社 ISBN 4-08-780158-6)などの書籍には、1938年ル・マン24時間レースの詳細や、当時のレース事情、そして参加マシンに関する貴重な情報が掲載されています。これらの文献を通して、この歴史的なレースをより深く理解することができます。

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