1939年度の将棋界

1939年度 将棋界の動向

1939年（昭和14年）4月から1940年（昭和15年）3月までの将棋界は、幾つかの重要な出来事によって彩られました。ベテラン棋士の逝去、若手棋士の躍進、そして名人戦挑戦者決定戦における激戦など、様々な出来事が棋士たちの運命を大きく変動させた一年となりました。

まず、4月25日には、大崎熊雄八段が55歳で亡くなりました。大崎八段は長年にわたり将棋界に貢献してきた名棋士でした。その死は、将棋界に大きな悲しみをもたらしました。

同年11月には、当時六段だった升田幸三が、名人であった木村義雄との席上対局で勝利を収めました。この対局は、升田が得意とする「香落ち」というハンデ戦で行われました。しかし、升田は持ち前の鋭い攻撃力で木村を圧倒し、勝利を掴みました。この快挙は、升田の才能を世に知らしめる大きな出来事となりました。若き升田の活躍は、将棋界に新風を吹き込み、大きな衝撃を与えました。

1940年2月25日には、大山康晴が四段に昇段しました。後に永世棋聖の称号を得る大山は、この頃からその才能を開花させ始めました。この昇段は、大山にとって大きな転機となり、後の活躍の礎となりました。

また、同年には名人戦挑戦者決定リーグにおいて、土居市太郎八段が13連勝という驚異的な成績を収め、名人挑戦権を獲得しました。13連勝という記録は、当時の将棋界においても非常に稀な快挙であり、土居八段の実力を如実に示すものとなりました。この活躍は、その後の名人戦の展開を大きく左右することになります。

これらの出来事を総合的に見てみると、1939年度の将棋界は、世代交代の波が押し寄せつつある過渡期であったと言えるでしょう。ベテラン棋士の引退や死去と、若手棋士の台頭という対照的な出来事が同時に起こり、将棋界全体の勢力図に大きな変化が生じつつありました。升田や大山の活躍は、この変化を象徴する出来事と言えます。

1939年度の将棋界は、多くのドラマと、そして未来への希望に満ちた一年だったと言えるでしょう。これらの出来事が、後の将棋界の発展に大きく貢献したことは間違いありません。

参考文献

加藤治郎、原田泰夫、田辺忠幸『［証言］将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1999年9月。ISBN 4-8399-0255-0。
日本将棋連盟『将棋年鑑 昭和43年版』1968年。

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