1940年東京オリンピック

1940年東京オリンピックの歴史

1940年東京オリンピック（東京1940）は、日本の東京市での開催が計画されていました。1940年9月21日から10月6日までの日程で実施される予定でしたが、様々な要因により開催されることはありませんでした。

概要

日本は、1936年の国際オリンピック委員会（IOC）の決定により、アジア初の夏季オリンピックの開催地に選ばれました。東京でのオリンピック開催は、国際的な注目を集めることが期待されていました。影響力のある「五大国」の一つとして、日本はこの機会を大いに利用しようとしていました。しかし、日中戦争が進行し、国内の軍部からの反対もありました。1938年7月に日本政府は、開催権を返上する決定を下し、その結果、オリンピックは実現しませんでした。

開催に向けた準備

1930年、日本学生競技連盟の山本忠興がIOCと面談したことで、東京でのオリンピック誘致の機運が高まりました。翌1931年に東京市会で開催に関する提案が満場一致で採択され、帝都はオリンピック誘致を本格化させました。競技場の候補地として、神宮外苑や駒沢ゴルフ場が挙げられ、さらなる準備が進められました。

1932年には東京が正式にIOCの開催候補地に名乗りを上げ、驚くべき成果として1940年大会の開催地が東京に決定しました。この時、日本は他の都市に比べても頻繁に招致活動を展開し、資金調達を行いました。しかし、時が進むにつれて、日中戦争の影響が開催準備に重くのしかかってきます。

開催権の返上

開催への期待が膨らむ一方で、国内外からの圧力も増大しました。国際的な情勢が厳しくなり、日本国内でもオリンピック開催の必要性が疑問視されるようになりました。1938年6月には内閣総理大臣の近衛文麿が開催中止を示唆する発言を行い、次第に開催権返上への道が開かれていきました。

1938年7月15日、日本政府は正式にオリンピック開催権を返上することを決定しました。東京市がオリンピックに向けて拠出した費用は90万円に達し、これは現在の価値に換算すると約23億4千万円にも上ります。代替開催地としてヘルシンキが選ばれましたが、こちらも第二次世界大戦の勃発に伴い、実現には至りませんでした。

その後の影響

東京オリンピックは実現しませんでしたが、開催準備の一部は後の1964年東京オリンピックにも活かされました。実際に、駒沢に計画されていた主会場は1964年大会で利用されたほか、戸田漕艇場も1970年代に再利用されました。

オリンピック開催の権利を巡っての争いは、後に平和的な国際交流の奨励へとつながっていきます。さらに、1940年のオリンピックに代わって行われた東亜競技大会は、その後のアジアにおけるスポーツイベントの発展に寄与しました。

結論

1940年東京オリンピックは、日本がこの国際的な祭典を迎える準備を進めていた歴史的な試みでした。戦争の影響で開催権が返上されたことは、国際情勢の複雑さを象徴する出来事となりました。しかし、この中止が後の1964年大会への布石となり、東京は再び世界にスポーツのメッカとして認識されることとなりました。

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