1941年/1942年東部戦線冬季戦記章

1941年/1942年東部戦線冬季戦記章の概要

1941年/1942年東部戦線冬季戦記章は、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に制定した記章であり、特にソビエト連邦への侵攻に従軍したドイツ軍人に与えられました。この章は、冬の厳しい戦闘やその過酷さを象徴しており、国家のために戦った者たちの功績を称える目的で作られました。

制定の背景

1941年6月、ドイツ軍はバルバロッサ作戦を発動し、ソビエト連邦に対して侵攻を開始しました。最初の数ヶ月は順調に進軍しましたが、11月中旬から悪化した天候により進撃が滞ってしまいます。その後、赤軍の強力な反撃や冬季装備の不足が早くも明らかとなり、特にモスクワを巡る攻防戦でドイツ軍は苦境に立たされます。1942年5月26日、ヒトラーは士気を高めるためにこの記章の制定を発表。授与の条件には、ボルシェヴィキ軍や1941-1942年の冬との戦闘における貢献が明記されていました。

授与条件・規則

このメダルは1941年11月15日から1942年4月15日まで、東部戦線での実戦に参加したドイツ軍の兵士に授与されました。以下の条件に該当する者が対象となります。

• - 最低14日間（空軍部隊の場合は30日）の戦闘参加。
• - 負傷して戦傷章を授与されたか、凍傷を負った者。
• - 最低60日の従軍期間を有する。

また、ドイツ軍の指揮下にあった同盟国の兵士や、ドイツのために戦った外国人部隊の兵士も授与対象となりました。この記章の最終的な授与式典は1944年10月15日まで続きました。

メダルのデザイン

このメダルは約36 x 40 mmのサイズで、表面には鷲が鉤十字を掴んだデザインが施されています。さらに、それを囲むように月桂樹の枝が描かれています。裏面には「WINTERSCHLACHT IM OSTEN 1941/42」と刻まれ、交差した短剣と月桂樹の枝が置かれています。

リボンは赤地に黒と白の3本の細い線がデザインされ、これはドイツの国旗を表しています。赤は過酷な冬を生き抜いた勇気、白は雪を象徴し、黒は倒れた友への哀悼を表すという解釈がなされました。

俗称とその意義

この記章には多くの俗称が存在し、中には「補給路勲章」や「冷凍肉メダル」、「アイスバイン勲章」などがありました。また、リボンの色にちなんで「凍結メダル」や「霜のメダル」といった名称も用いられ、リボンそのものが持つ意義が兵士たちにとって深く刻まれていました。

授与総数

正式な記録では、東部戦線での戦闘に従事したドイツ国防軍の兵士は約473万人にのぼりましたが、実際には約200万人から250万人が授与対象として見込まれています。戦死者もこの記章の対象となっており、最終的な授与数は250万から300万程度と考えられています。

その他の情報

1957年、ドイツ連邦共和国はナチス・ドイツ時代の記章を佩用することを許可しました。ただし、鉤十字は取り除く必要があります。これにより、歴史的な記章が現代においても価値を持つことを示しています。

このように、1941年/1942年東部戦線冬季戦記章は、ドイツ軍にとって大きな意義をもっており、戦争の中での過酷な経験と勇気を称えるものとして記憶されています。

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