1945年の日本公開映画

1945年の日本公開映画

1945年、すなわち昭和20年は、太平洋戦争の終結という歴史的な転換点を迎えた激動の一年でした。このような特殊な時代背景の中、日本国内では数多くの映画作品が商業劇場で公開されました。本項目では、1945年1月1日から同年12月31日までの間に封切られた映画作品群について記述します。この年の映画公開は、戦時下の状況から終戦、そして新しい時代への胎動を映し出す、極めて特徴的な様相を呈していました。

この年に公開された作品の大部分は日本国内で製作されたものでした。しかし、終戦後には一部の外国映画も公開されています。特にイギリスやアメリカの作品は、日本映画貿易社が保管していたものが再公開された例が見られます。また、当時は満洲で製作された作品も日本で公開されていました。

以下に、月ごとの主な公開作品を挙げます。

1月：年の初めにふさわしく、『天晴れ一心太助』や『龍の岬』が封切られました。また、戦時下の状況を反映した『勝利の日まで』、『姿なき敵』もこの月に公開されています。
2月：『海の虎』、『名刀美女丸』といった時代劇や戦意高揚を思わせる作品に加え、『間諜海の薔薇』、『必勝歌』などが劇場に登場しました。
3月：『後に続くを信ず』が公開され、続いて月末には『撃滅の歌』、『突貫駅長』が封切られるなど、引き続き戦時色が濃い作品が目立ちました。
4月：特に注目すべき作品として、日本初とされる長編アニメーション『桃太郎 海の神兵』が公開された月です。これに加えて、『紅顏鼓笛隊』、『乙女のゐる基地』も封切られました。
5月：黒澤明監督による『続姿三四郎』が公開されたほか、『生ける椅子』、『日本剣豪伝』が劇場で上映されました。
6月：『ことぶき座』や『三十三間堂通し矢物語』といった作品が公開されました。
7月：『東海水滸伝』、『愛の誓ひ』、『最後の帰郷』といった作品が公開され、終戦が近づくにつれて、様々なジャンルの作品が作られていたことがわかります。
8月：運命の月、月の初めには『北の三人』が公開されました。終戦を経て、月末には早くも『伊豆の娘たち』や『花婿太閤記』といった、戦後を見据えたようなタイトルの作品が公開されています。
9月：終戦後、初めての公開作品として『別れも愉し』が封切られ、新しい時代の幕開けを感じさせました。
10月：新しい時代を象徴するような『そよかぜ』が公開され、大きな話題となりました。この月には他にも、『海を呼ぶ声』、『千日前附近』などが封切られています。
11月：『狐の呉れた赤ん坊』、『歌へ!太陽』、『天国の花嫁』といったバラエティ豊かな作品が公開されました。
12月：年の瀬が迫るこの月には、『新風』、『最後の攘夷党』、『東京五人男』、『犯罪者は誰か』といった日本映画が立て続けに公開されました。また、特筆すべきこととして、イギリス製作の『ウエヤ殺人事件』やアメリカ製作の『ユーコンの叫び』といった外国映画も公開されていますが、これらは本国では1938年に封切られた作品が、日本映画貿易社に保管されていたものがこの年に公開されたものでした。

この他にも、正確な公開月は特定されていませんが、『昆虫天国』、『娘道成寺』といった日本映画、さらには『虎狼闘艶』、『芝蘭夜曲』、『蘭花特攻隊』、『蘇少妹』、『大地逢春』、『夜半鐘声』といった満洲で製作された作品も、1945年中に日本国内で公開された記録が残っています。

1945年に公開された映画作品群は、戦時体制から敗戦、そして占領下での新しい社会への移行という、日本が経験した激しい変化を映し出す貴重な記録と言えるでしょう。これらの映画は、当時の人々の生活や意識、そして時代の空気感を今に伝えています。

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