1946年の国際連合事務総長の選出

国際連合事務総長の初代選出

1946年の国際連合事務総長の選出は、世界初の国際組織としての位置づけを強調する重要な出来事でした。選挙は1月29日と2月1日の2日間にわたって行われ、国際連合の第1回総会で行われました。この過程は、冷戦の幕開けを予見させる複雑な国際的な駆け引きが見られました。

選出の背景と経緯

この選出はロンドンにある国際連合の総会で行われました。そこでまず安全保障理事会の非常任理事国を選出した後、初代事務総長を選ぶ議論が始まりました。アメリカとイギリスはカナダのレスター・B・ピアソンを推しましたが、ソビエト連邦はその反対をし、常任理事国に拒否権を行使しました。結局のところ、安全保障理事会は妥協策としてノルウェーのトリグブ・リーを選出することになりました。

事務総長の選出は、当初は総会議長の選出に隠れていました。議長有力候補にはノルウェーのリーとベルギーのポール＝アンリ・スパークが立っており、アメリカとソ連はリーを支持しましたが、他の常任理事国はスパークを推していました。アメリカ国務長官のジェームズ・F・バーンズは、リーの選出が不可能だと考えていましたが、アメリカの外交政策の観点から彼に対し投票せざるを得ないという圧力がありました。

候補者の変遷と合意形成

1月12日、総会ではソ連がリーを指名しようとしましたが、支持が得られなかったため無記名投票に切り替えられました。その結果、スパークが選出されましたが、事務総長候補ではありませんでした。各国の意向や支持のかけ引きが、国際連合の構造を反映していました。

選出に至るまで、アメリカはリーを選ぶ努力を続けましたが、ピアソンやスパークなどの他の候補者との調整が難航。その後の非常任理事国選出での合議が、事務総長選出の準備として重要なステップとなりました。国際的な問題を解決するための仲介役として事務総長の役割は特に重要視され、その人物に対する期待も高まりました。

また、1月23日にはフランスが「外相を選ぶべき」と提案し、ノルウェーのリーが適任であるとされましたが、候補者の支持を巡る引き合いは続きました。安全保障理事会での拒否権行使の可能性がある中、最終的に安定した妥協が求められました。

最終決定と影響

1月28日、常任理事国はリーを受け入れる意向を示し、その後の非公式協議の結果として1月29日、安全保障理事会はリーを国連総会に推薦しました。2月1日には3か国の反対を受けて、リーの任命が承認されることになりました。リーは同年の2月2日付で事務総長に就任し、国際連合の歴史に名を刻むことになりました。

事務総長の選出は、国際連合の運営方法や国際政治のダイナミクスを含め、それ以降の国際関係においても大きな影響を与える出来事となりました。国際連合の初代事務総長の役割を担ったリーは、その後の国際舞台において特に重要な航路を切り開くことになり、彼の在任中には多くの課題に対処することが求められました。

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