1956年のル・マン24時間レース

1956年のル・マン24時間レースは、フランスのサルト・サーキットで1956年7月28日から29日にかけて開催されました。これは、1955年大会で発生した大規模な事故の余波を受け、開催の是非が議論された末に開催された、記念すべき大会でした。

前年の悲劇を教訓に、安全性への配慮が徹底されました。ピットエリアは改修され、コースレイアウトも変更、全長は13.492kmから13.461kmに短縮されました。さらに、レースペース抑制のため、プロトタイプカーの排気量上限を2,500ccに制限し、使用可能な燃料量も制限する規定が導入されました。これらの安全対策と規定変更のため、レース開催は例年より遅れ、その年のスポーツカー選手権からも除外されました。

レースには49台のマシンが出走しました。その中で注目を集めたのは、ジャガー・Dタイプでした。特に、4号車は最高速度252.455km/hを記録し、その圧倒的な速さを示しました。しかし、レースは天候にも左右されました。途中で雨が降り、路面状況が変化したことで、マシンのペースは前年を下回る結果となりました。

激戦の末、優勝したのはエキュリー・エコスチームのロン・フロックハートとニニアン・サンダーソン組がドライブする、市販型のジャガー・Dタイプ4号車でした。24時間で4034.929kmを走行、平均速度は168.122km/hを記録しました。この勝利により、ジャガーはル・マン24時間レースで4勝目を飾ることとなりました。

完走を果たしたのは11のメーカーから14台のマシンでした。過酷なレースと天候の影響で、多くのマシンがリタイアを余儀なくされたことがわかります。

1956年のル・マン24時間レースは、1955年の事故を乗り越え、安全対策を強化した上で開催された重要な大会でした。レースの結果だけでなく、安全対策の充実、そして天候がレースに与える影響など、様々な要素が絡み合った、記憶に残るレースとなりました。その詳細については、『ルマン 伝統と日本チームの戦い』（グランプリ出版）、ドミニク・パスカル著『ル・マンの英国車』（ネコ・パブリッシング）、黒井尚志著『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』（集英社）といった参考文献に詳しい記述があります。これらの文献は、レースの歴史や背景を理解する上で貴重な資料となります。

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