1957年のラジオ (日本)

1957年、日本のラジオ放送は、新たな技術の芽生えと多様な番組の登場により、その歩みを進めました。

この年のラジオ界で特筆すべき出来事の一つに、日本放送協会（NHK）によるFM放送の実験開始があります。将来の放送技術に向けた重要な一歩として、12月24日にはNHK東京FM放送実験局（JOAK-FMX）が19時より実験放送を開始し、関係者の注目を集めました。

放送局側の動きとしては、経営統合や名称変更といった動きも見られました。例えば、11月には地方局であるラジオ三重が近畿東海放送へと商号を変更しています。このような変更は、放送業界の構造変化の一端を示すものでした。

番組編成においても、1957年にはNHKと民放各局から数多くの新番組が誕生し、聴取者に様々な選択肢を提供しました。年明け早々の1月7日、ラジオ東京では子供たちの冒険心をくすぐる連続番組『赤胴鈴之助』が放送を開始。2月4日には、文化放送で『オヤカマ氏とオイソガ氏』、ニッポン放送で『アッちゃん』といった、ユーモラスなタイトルの番組が登場しました。

春の番組改編期となる4月には、特に多くの新番組がスタートしました。NHKラジオ第1放送では、4月1日に日々の生活を描くドラマ『一丁目一番地』、4月6日に国際情勢を伝える『アジアの話題』が始まりました。翌7日には、子供向けの『みんな仲よし世界のこども』や、文学作品をラジオドラマ化する人気番組『日曜名作座』が放送開始。NHKラジオ第2放送も、同じく7日にクラシック音楽を紹介する『現代の音楽』を開始し、教育・教養番組の充実を図りました。民放では、ラジオ東京が4月1日に都市情報番組『東京ダイヤル』をスタートさせています。

夏に入ると、番組の多様性はさらに広がります。7月20日には日本短波放送で海事専門のニッチな情報番組『海上ダイヤル』がスタート。7月30日には、関西地方の朝日放送で、お笑いの文化を伝える『漫才教室』が始まりました。秋の9月2日には、ラジオ東京が日中の情報ニーズに応える『昼の話題』を開始。11月にはNHKでも新番組が相次ぎ、ラジオ第1放送では6日に芸能情報を扱う『ラジオ芸能ホール』、10日には音楽番組『きらめくリズム』や国際教養番組『世界とアジア』がスタート。ラジオ第2放送では、4日に『青少年職業講座』、9日に『工業技術講座』、10日に『新しいアジア』といった実用的な講座番組が加わりました。年末の12月31日には、ラジオ東京が華やかな特別番組『オールスター大行進』で一年を締めくくっています。

このほか、単発の企画として、国際演劇月に関連した特別番組も制作されました。ラジオ東京は6月18日に近代能楽集より三島由紀夫作『道成寺』を、文化放送は12月27日に同じく三島由紀夫作『班女』を放送。芸術性の高いラジオドラマとして注目を集めました。また、日時不明ながら『青空娘』といった特別番組もオンエアされています。

この年も、多くの番組や放送局が開局・放送開始から周年といった節目を迎え、ラジオ放送の歴史が着実に積み重ねられました。

このように1957年は、新たな放送技術であるFMへの試みが始まりつつも、教育、教養、報道、娯楽と、様々なジャンルでバラエティ豊かな新番組が投入され、ラジオが引き続き主要なメディアとして人々の生活に深く関わっていた一年と言えるでしょう。

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