1958年モロッコグランプリ

1958年モロッコグランプリの詳細

1958年10月19日、アイン・ディアブ・サーキットにて開催された1958年モロッコグランプリは、その年のF1世界選手権の最終戦となりました。本レースは、前年まで非選手権戦として行われていたモロッコGPが、初めて公式なF1選手権の一戦として組み込まれたものであり、様々なドラマが繰り広げられました。

当レースにおいては、ドライバーズチャンピオンシップの争いがマイク・ホーソーンとスターリング・モスの間で繰り広げられました。ホーソーンは40ポイント、モスは32ポイントを持って終盤を迎え、モスが逆転を果たすためには、優勝およびファステストラップの記録が必要でした。一方、ホーソーンは2位以上であればチャンピオンが決まる状況でした。

このレースには、モロッコ国王ムハンマド5世の元で行進をする形で、25名のドライバーが参加しました。その中にはF2部門から参加する6名も含まれています。ポールポジションを獲得したホーソーンは、モスに先行を許しながらレースがスタートしました。レースの序盤では、フィル・ヒルがモスの後ろについてプレッシャーをかけようとしましたが、モスは冷静さを保ち、自身のペースを維持しました。

中盤に入ると、モスのチームメイトであるトニー・ブルックスがホーソーンを抜いて3位へと浮上しました。しかし、続いてブルックスのエンジンが故障し、リタイア。この状況の中で、フェラーリ陣営はヒルにホーソーンを先行させるよう指示を出し、ホーソーンは2位へと進出しました。

レース終盤にはスチュアート・ルイス＝エヴァンズが駆るヴァンウォールのエンジンがブローし、コース外に飛び出して大破、炎上するという深刻な事故が発生しました。この事故でルイス＝エヴァンズは重傷を負い、数日後に亡くなりました。

一方、レースはモスが制し、彼の得点は41ポイントに達しましたが、ホーソーンが2位でフィニッシュしたことで、総得点は42ポイントとなり、ホーソーンがイギリス人初のドライバーズチャンピオンに輝きました。モスはシーズン中に4勝を挙げましたが、リタイアも多く、この点が影響しました。ホーソーンは唯一の勝利をフランスGPで上げつつも、2位に5回入賞したことがタイトル獲得に繋がったのです。

さらに、ヴァンウォールはシーズン6勝をプラスし、コンストラクターズチャンピオンシップを初めて制しました。それにも関わらず、トニー・ヴァンダーヴェル代表は健康上の理由でF1から撤退することを決めました。また、ルイス＝エヴァンズの事故もその理由の一つとされています。

ホーソーンはタイトル獲得からわずか2ヶ月後、友人のピーター・コリンズが事故で亡くなったことや、自らの体調不良を理由に現役を引退することを発表しました。しかし、その後まもなくして彼もまた交通事故で命を落とすのです。このように、1958年のモロッコグランプリは、数々のドラマに満ちた伝説的なレースとなりました。

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