1960年の中日ドラゴンズ

1960年 中日ドラゴンズのシーズンレビュー

1960年の中日ドラゴンズは、杉下茂選手兼任監督の2年目のシーズンでした。この年は、セ・リーグがファンサービスの一環として胸番号を取り入れることを決定し、チームも1952年に使用していた紺色ユニフォームを廃止し、エビ茶色のカラーユニフォームを導入することになりました。このような新たな試みは、当時のプロ野球界では珍しいものでした。

チームの戦績は、前年に5連覇を達成した読売ジャイアンツが開幕から不調に陥る中、1960年の中日ドラゴンズも波乱のシーズンを迎えました。中日ドラゴンズは、前年最下位だった大洋ホエールズが首位に立つという異常事態で、終盤までの成績は非常に振るわずも、投手陣の大矢根博臣や板東英二、打撃陣の森徹や岡嶋博治が活躍し、8月時点で首位の大洋と僅か1.5ゲーム差の2位にいました。しかし、9月に入ると連敗が続き、最終的には5勝15敗という結果に終わり、大きく順位を下げてしまいました。

最後には、初優勝を果たした大洋に対し、何も成し遂げることなくシーズンを終えた中日ドラゴンズは、杉下監督が責任を取る形で辞任。後任には濃人渉二軍監督が就任しましたが、これは選手間での対立を引き起こす原因となり、森などの主力選手に対するトレードの噂が立つ事態となりました。

それでも、このシーズンには明るい話題もありました。新人の高木守道が控えから一軍に定着したことは、若手選手が台頭する兆しとして期待されました。投手陣では、大矢根と広島衛が共に15勝を挙げ、板東も2年目で10勝を達成。さらに、計4人が2ケタの勝利を上げるなどの好成績を収めました。しかし、1954年の優勝メンバーの児玉泰が3勝、伊奈努が2勝、また中山俊丈が3勝といった期待外れのパフォーマンスもあり、チームとしての結果には結びつきませんでした。

打撃陣では、岡嶋と中利夫の俊足コンビによる活躍が目立ち、リーグトップとなる160盗塁を記録。このことは、攻撃的なプレースタイルの確立に寄与しましたが、全体的な戦績には影響を与えませんでした。

1960年の中日ドラゴンズは、表面上の成績は良くありませんでしたが、若手選手の成長や新たなユニフォームの採用など、今後への期待を残すシーズンでした。シーズン後の体制変更や選手の流出が懸念される中で、次のシーズンに向けて何が必要なのかを考え直させられる機会ともなったのです。

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