1960年の読売ジャイアンツ

1960年の読売ジャイアンツのシーズン概況

1960年、読売ジャイアンツは水原茂監督のもと、11年目のシーズンを迎えました。この年は、初のリーグ6連覇と5年ぶりの日本一を目指して臨む重要な年と位置付けられていましたが、期待とは裏腹に厳しい試練が待ち受けていました。

シーズンのスタートは、開幕から期待が高まるも初戦からトラブルが発生します。開幕3戦目で広岡達朗が負傷し、リタイヤする事態となりました。以降、長嶋茂雄が遊撃を務める形になり、この変則的なスタートがチームの調子に影響を及ぼすことになりました。

4月には一時的に首位に立つものの、5月には勝ち星が伸びず、広岡が復帰する下旬には中日に首位を奪われてしまいます。7月からは大洋も加わり、両チームとの3つ巴の争いが展開されました。9月になると中日が脱落し、巨人は7連勝を記録するものの、定期的に対戦していた大洋にはなかなか勝利することができず、特に困難を極めました。

水原監督は、大洋との対戦成績が振るわず、特に1点差敗北が目立つ中で苛立ちを見せます。そして、10月2日の広島とのダブルヘッダー第1試合に敗れた直後、大洋の優勝が決定したことで感情が爆発し、報道陣に対して暴力行為を働くという不祥事を引き起こしてしまいます。この事件を受けて、水原は謹慎処分となり、川上哲治ヘッドコーチがシーズン終了まで指揮することが決まりました。

その後の11月19日には水原の辞任と川上の監督就任が発表され、さらに11月26日には別所毅彦が一軍投手コーチに就任するという体制の変化もありました。まさに世代交代の年と言えるでしょう。

その一方で、カード別成績を見ると広島相手には過去の得意ぶりを発揮できず、8勝17敗1分の成績に終わり、苦しい戦いが続いていました。投手陣では、ルーキーの堀本律雄が29勝を挙げて最多勝と新人王に輝くなどの成果も見られましたが、これまでの実績が期待された藤田元司は右肩の痛みに悩まされる結果となり、勝ち星が激減しました。さらにベテランの別所毅彦が300勝達成の記録を持つ一方で、彼もかつての圧倒的なパフォーマンスにはほど遠い状況が続いていました。

打撃陣では、長嶋が2年連続で首位打者を獲得し、王貞治は17本塁打を放つなどの活躍を見せたものの、その他のメンバーは広岡の怪我や与那嶺、土屋の不振に悩まされ、チーム全体の打率は.229と低迷しました。与那嶺はシーズン終了後に自由契約で中日に移籍し、土屋も契約更改後にトレードで国鉄スワローズへ移籍することになりました。

さらに、この年は6月1日からユニホームの胸文字や番号、帽子のつばの色を赤に変更するという変化も試みられましたが、わずか1年でこの変更は廃止されることとなります。

全体を通して1960年の読売ジャイアンツは、若手とベテランが交錯する中で多くの課題と試練を乗り越え、次のステージへの足がかりを得たシーズンといえるでしょう。

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