1960年イギリスグランプリ

1960年イギリスグランプリ：ミッドシップ時代の到来と名門チームの終焉

1960年7月16日、イギリスのシルバーストン・サーキット。F1世界選手権第7戦、1960年イギリスグランプリが開催されました。このレースは、F1の歴史において重要な転換期を示唆する様々な出来事が凝縮された、記憶に残る一戦となりました。

激戦のレース展開

ポールポジションからスタートを切ったブルース・マクラーレンでしたが、すぐにジャック・ブラバムが首位を奪取。ブラバムはその後もリードを保ちましたが、55周目、グラハム・ヒルがブラバムを抜きトップに立ちます。しかし、運命のいたずら。残り6周というところで、ヒルのマシンはブレーキトラブルに見舞われ、リタイアを余儀なくされました。このアクシデントにより、ブラバムは見事4連勝を達成することとなります。

2位には、ロードレース世界選手権チャンピオンとして名を馳せ、F1デビュー2戦目にしてこのレースに参戦したジョン・サーティースが入賞。チームメイトであるジム・クラークとの激しい争いを制し、その実力を見せつけました。3位にはイネス・アイルランドが入賞しています。

ミッドシップ車の隆盛とフロントエンジンの衰退

このレースで注目すべきは、マシンの設計です。24台のエントリーのうち、実に19台がミッドシップエンジンレイアウトを採用していました。僅か5台が残されたフロントエンジン車は、フェラーリ246、アストンマーティンDBR5、そしてプライベーターの手によるロータス16でした。

アストンマーティンは、前年型DBR4を改良した新型DBR5を投入しましたが、時代遅れとなったフロントエンジン設計は、もはや致命的な弱点でした。ドライバーのモーリス・トランティニアンは、優勝者ブラバムから5周遅れの11位という結果に終わります。このイギリスGPを最後に、アストンマーティンはF1からの撤退を余儀なくされました。伝統と歴史を誇る名門チームの撤退は、F1界に衝撃を与えました。

その他の出来事

予選では、リヴェントロウとダイが前戦フランスGPでスカラブのマシンに大きなダメージを与えた後、No.3のマシンでエントリーするという異例の事態が発生しました。最終的に、予選でダイの方が速かったため、リヴェントロウは撤退しています。また、いくつかのチームがエントリーしたものの、実際にはレースに出場しなかったという事実もあります。

レース結果とその後

このレースの結果、ドライバーズランキングではブラバムがトップを堅守しました。このレースは、ミッドシップレイアウトの優位性を決定的に示すとともに、F1における技術革新の激しさ、そして名門チームの栄枯盛衰を象徴する出来事として、今もなお語り継がれています。タイヤは全車ダンロップを使用していました。レースの詳細な結果や統計については、当時の記録や専門文献を参照いただくのが良いでしょう。

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