1960年ポルトガルグランプリ

1960年ポルトガルグランプリ：ブラバム、2年連続チャンピオンを確定

1960年8月14日、ポルトガル・ボアビスタ・サーキット。F1世界選手権第8戦、1960年ポルトガルグランプリが開催されました。このレースは、数々のドラマと歴史的瞬間が凝縮された、忘れがたい一戦となりました。

ベルギーGPでの大怪我からわずか2ヶ月で復帰を果たしたスターリング・モス。その復帰に世界中のモータースポーツファンが注目する中、予選ではジョン・サーティース（ロータス）がF1デビュー3戦目にしてポールポジションを獲得。一方、彼のチームメイトであるジム・クラークは予選でマシンをクラッシュさせてしまうというアクシデントに見舞われました。

決勝レースは、序盤から激しいトップ争いが展開されました。最初の10周はダン・ガーニー（BRM）がトップを快走。しかし、サーティースが粘り強く追い上げ、トップに返り咲きます。レース中盤はサーティースとブラバムの手に汗握るデッドヒートが繰り広げられましたが、36周目にジャック・ブラバム（クーパー）がサーティースをかわし、トップに躍り出ました。

そして、ブラバムはそのままトップを譲ることなくチェッカーフラッグを受けました。この勝利により、ブラバムは残り2戦を残して2年連続2回目のドライバーズチャンピオンを確定。さらに、クーパーは2年連続でコンストラクターズチャンピオンを獲得しました。

3位には、予選でのクラッシュにも関わらず、見事にマシンを修復してレースに臨んだジム・クラークが入賞。自身初の表彰台獲得という快挙を成し遂げました。一方、前半は2位を走行していたスターリング・モスは、終盤にスピンしてコースを逆走したため、残念ながら失格という結果に終わりました。

この1960年ポルトガルグランプリは、F1世界選手権におけるポルトガルでのレース開催としては、しばらくの間最後のものとなりました。次回ポルトガルGPが開催されるまでには、実に24年の歳月が流れます。1984年、再びポルトガルでF1マシンが轟音を響かせるまで、このレースは多くのファンにとって忘れられない記憶として刻み込まれることでしょう。

レースの詳細としては、全車がダンロップタイヤを使用。練習走行中に腕を負傷したテイラーは、残念ながらレースへの参加を見送ることとなりました。決勝レースでのラップリーダーは、ダン・ガーニー（1-10周）、ジョン・サーティース（11-35周）、ジャック・ブラバム（36-55周）でした。

このレースの結果、ドライバーズランキングではブラバムが圧倒的な強さでトップに立ち、コンストラクターズランキングでもクーパーが首位を堅守しました。このポルトガルGPは、1960年のF1シーズンにおける重要な転換点となったと言えるでしょう。 ブラバムの圧倒的な勝利と、若手ドライバーたちの活躍、そしてスターリング・モス復帰劇など、様々なドラマが詰まった一戦でした。 このレースは、F1の歴史における重要な一ページとして、これからも語り継がれていくことでしょう。

参照文献

* 林信次『F1全史 1956-1960』ニューズ出版、1999年。ISBN 4-938495-27-9。

もう一度検索