1960年モナコグランプリ

1960年モナコグランプリ：ロータスの初勝利と波乱の展開

1960年5月29日、モナコグランプリがモンテカルロ市街地コースで開催されました。このレースは、F1世界選手権第2戦として、シーズン序盤の重要な一戦となりました。開幕戦アルゼンチングランプリを経て、各チームは新車の開発に力を注ぎ、モナコでは多くの最新マシンがデビューしました。

新車ラッシュとチーム事情

BRMは新型P48を3台のドライバーに投入しました。ドライバーの後方にエンジンを配置したこのマシンは、信頼性に課題を残したものの、将来性を示唆する存在でした。クーパー・クライマックスはより強力なエンジンを搭載したT53を発表、高速域での競争力を高めました。ロータスは開幕戦で好成績を残した18を全ドライバーに用意、後にチャンピオンとなるジョン・サーティースもロータスからF1デビューを果たしました。フェラーリはフロントエンジンからリアエンジンへの移行を試み、ディーノ246F1をベースにした246Pを投入しました。この開発には、クーパーの技術を参考にしたというエピソードも残っています。一方、新チームのリヴェントロウ・オートモビルズ・インクがスカラブで参戦、多くのプライベーターもレースに華を添えました。

ドライバー陣も注目を集めました。スターリング・モスはRRCウォーカー・レーシングチームからロータス18で参戦、トニー・ブルックスと新人のクリス・ブリストウがヨーマン・クレジット・レーシングチームからエントリーするなど、ベテランと新鋭が混在した激しい戦いが予想されました。

予選：モスのポールポジションとアリソンの事故

予選ではモスが圧倒的な速さを見せつけ、ポールポジションを獲得しました。これはモスにとって5度目、ロータスにとっては初のポールポジションとなりました。2番手にはブラバム、3番手にはブルックスと続き、BRM勢が続く展開となりました。しかし、フェラーリ勢は低調で、アリソンは大事故を起こし、シーズンを棒に振ることとなりました。この事故は、チームにとって大きな痛手となりました。モナコグランプリのスターティンググリッドは16台に制限されており、多くのドライバーがレースに参加できなかったことも特筆すべき点です。

決勝：波乱の展開とモスの勝利

決勝レースは、ボニエがスタートダッシュでトップに立ちました。しかし、モナコ特有の追い抜き困難なコース状況の中、モスは徐々に順位を上げていき、17周目にトップに躍り出ました。レース中盤には、トランティニアン、ブリストウ、サーティースらがギアボックストラブルなどでリタイア、ステイシー、サルヴァドーリもマシントラブルにより脱落するなど、次々とマシンがコース上でストップする事態となりました。

レース終盤は、ブラバムがトップに立つ場面もありましたが、スピンによるコースアウトとマーシャルによるプッシュスタートが失格に繋がり、再びモスがトップに返り咲きました。そして、最終的にモスがロータスに初勝利をもたらしました。これは1956年以来、モスにとって2度目のモナコでの勝利となりました。2位にはマクラーレン、3位にはフィル・ヒルが入賞し、ブルックスが4位に入りました。

まとめ

1960年モナコグランプリは、新車投入、ドライバー交代、そして数々のアクシデントが絡み合った、非常に波乱の展開となりました。モスの優勝とロータスの初勝利は、このレースを象徴する出来事となりました。また、このレースでは、マクラーレンがファステストラップを記録し、ドライバーズランキングのリードを広げ、クーパーがコンストラクターズランキングでリードを広げました。ロータスも3位に浮上し、今後の躍進を予感させるレースとなりました。このレースは、F1の歴史において重要な転換点の一つとなりました。

もう一度検索