1961年ドイツグランプリ

1961年8月6日、ドイツのニュルブルクリンクで、F1世界選手権第6戦、1961年ドイツグランプリが開催されました。このレースは、23回目のドイツグランプリであり、同時に「ヨーロッパグランプリ」の称号もかけられた、記念すべき大会でした。さらに、1950年から始まったF1世界選手権の通算100戦目という節目を迎えたレースでもありました。15周、総距離342kmに渡る激戦が繰り広げられました。

前年のドイツGPはF2規定で行われ、ニュルブルクリンク南コースで開催されたため、F1世界選手権におけるニュルブルクリンク北コースでの開催は1958年以来3年ぶりでした。このレースを制したのは、プライベーターチーム、ロブ・ウォーカー・レーシングチームに所属するスターリング・モスでした。彼はロータス・18/21マシンを駆り、2列目からのスタートながら、全周回でトップを快走、見事な優勝を飾りました。リアエンジン搭載車がドイツGPで優勝したのは、1936年以来2度目の快挙でした。

この勝利は、モスにとって最後の優勝、表彰台、入賞、そして完走となりました。翌1962年の開幕前に行われた非選手権レースで、彼は重傷を負い、現役引退を余儀なくされたのです。このドイツGPでの3位という成績により、ドライバーズランキングは、フォン・トリップス、ヒルに次ぐ3位に浮上しました。チャンピオンシップ争いは、残る2戦にフォン・トリップスとヒルが絞られるという状況に。

一方、ジャック・ブラバムは、新型のV型8気筒エンジンを搭載したクーパー・T58で予選2位を獲得。決勝ではスタート直後にトップに立ちましたが、1周も経たないうちにスロットルが固着し、雨も降り始めたこともあり、クラッシュしてしまいました。また、このレースは、5週間後のイタリアGPで悲劇的な事故で亡くなるフォン・トリップスにとって最後の母国レースとなり、2位でフィニッシュしました。ポールポジションを獲得したフィル・ヒルは、決勝でファステストラップを記録するも、3位に終わりました。4位以下は、全てイギリスのチームが占め、チーム・ロータスのジム・クラーク、ヨーマン・クレジット・レーシングのジョン・サーティース、クーパー・ワークスのブルース・マクラーレンがそれぞれ4位から6位に入賞しました。

26台のマシンが決勝に出走する中、17台がフィニッシュ。規定周回数の75%を下回ったベルナール・コロンブを除く16台が順位につけられました。全車ダンロップタイヤを使用し、様々なチーム、ドライバーがしのぎを削った、白熱したレースとなりました。予選では、マシントラブルやアクシデントによる欠場などもありました。このレースは、スターリング・モスのキャリアの集大成であり、そしてF1の歴史における重要な一戦として記憶されています。チャンピオンシップ争いも白熱し、後の展開を予感させるレースでもありました。様々なドラマが詰まった、1961年ドイツグランプリは、F1ファンにとって忘れられないレースの一つでしょう。

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