1962年のル・マン24時間レース

1962年のル・マン24時間レースは、フランスのサルト・サーキットで6月23日から24日にかけて開催され、30回目の大会となりました。このレースは、フェラーリの圧倒的な強さが印象的でした。特に、プライベーターを含めると15台ものフェラーリが参戦するという状況でした。
一方、ロータスチームは、グループ4に適合させた新型スポーツカー、ロータス23を投入しました。ミッドシップエンジンと繊維強化プラスチック製ボディカウルを採用するなど、高い戦闘力を誇るマシンでしたが、レースへの参加は波乱に満ちたものでした。
まず、車検において、最低地上高が低いという理由で不合格と判定されます。修正の上、再検査を受けますが、今度は前後ホイールのボルト数が異なるという理由で再び不合格となります。航空便で部品を取り寄せ、修正を繰り返しますが、今度は「4本止めでは安全性が不十分」という理由で不合格と判定されてしまいます。最終的には、「ロータス23はル・マン24時間レースの精神に反する」といった曖昧な理由で出場を認められませんでした。
一連の出来事に激怒したロータスチームのオーナー、コーリン・チャップマンは、決勝への出場を辞退。それどころか、それまで1955年から連続出場を続けていたル・マンからの撤退を決断しました。フランス西部自動車クラブの車検係は、ロータスの出場を妨害し、フランス車を有利にするため意図的に不合格としたとして告訴される事態に発展しました。
レースの結果、55台が出走し、完走したのは18台でした。優勝は、オリヴィエ・ジャンドビアンとフィル・ヒル組のフェラーリ330LM（6号車）でした。24時間で4451.255kmを走り、平均速度は185.469km/hを記録しました。性能指数部門では、パナール・ルヴァッソールのSERA-CDディナクーペ（53号車）が1位を獲得しました。
この1962年のル・マン24時間レースは、フェラーリの圧倒的な勝利と、ロータスチームの不運な出来事、そしてフランス西部自動車クラブの不当な扱いなどが複雑に絡み合った、記憶に残る大会となりました。ロータスの撤退という決定は、レース史に大きな影を落とした出来事と言えるでしょう。その後、ロータスがル・マンに復帰することはありませんでした。このレースに関する様々な情報は、参考文献に挙げた書籍などに詳しく記述されています。これらの書籍は、レースの歴史や背景、技術的な詳細など、多角的な視点からル・マン24時間レースを理解する上で役立つ貴重な資料です。

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