1965年ベルギーグランプリ

1965年ベルギーグランプリ：雨のスパでクラークが完全勝利

1965年6月13日、ベルギー・スパ・フランコルシャンサーキット。ここは、F1世界選手権第3戦、そして25回目のヨーロッパグランプリの舞台でした。このレースは、悪天候と、チームと主催者間の対立、そしてプライベートチームの反発という、数々のドラマを生み出しました。

激しい雨とチーム間の対立

レースウイークは、チーム・ロータスとレース主催者間の対立から始まりました。前戦モナコGPでの問題が尾を引き、主催者は当初、決勝出場台数を16台に制限。そのうち12台をファクトリーチームに割り当て、出場を保証する一方、プライベートチームはわずかな出場枠しか与えられませんでした。この不公平な扱いに対し、プライベートチームは抗議として金曜日のフリー走行をボイコット。最終的に交渉が成立し、20台が土曜日の予選に参加することになりました。

予選と決勝：ヒル、クラーク、スチュワートの三つ巴

予選では、グラハム・ヒルがポールポジションを獲得。ジム・クラークとジャッキー・スチュワートがフロントローに並びました。ホンダのギンサーは4位、ブラバムが5位と好位置につけました。一方、前年度チャンピオンのジョン・サーティースは3列目からのスタートとなりました。

決勝は、激しい雨に見舞われました。スタートでヒルがリードを奪いますが、クラークはすぐにマスタキンクでヒルをオーバーテイク。その後は、クラークが独走状態となります。ヒルはマシントラブルに苦しみ、スチュワート、マクラーレン、そしてブラバムにも抜かれ、5位に終わりました。一方、クラークは全周回でトップを維持。2位のスチュワートに1分20秒以上の差をつける圧勝劇となりました。終盤はペースを落としたものの、45秒差で優勝を飾りました。このレースで、ホンダはギンサーの6位入賞により、初のポイントを獲得しました。また、アトウッドはレース終盤にコースアウトし、マシンは大破炎上しましたが、彼は重傷を免れました。

まとめ：クラークの圧倒的な勝利と様々な問題

1965年ベルギーグランプリは、ジム・クラークの圧倒的な勝利によって幕を閉じました。しかし、その裏では、チームと主催者間の対立、プライベートチームの反発、そして悪天候など、様々な問題が複雑に絡み合っていました。このレースは、F1の歴史において、単なるレース結果以上の意味を持つ、非常に重要な一戦だったと言えるでしょう。悪天候の中でのクラークのドライビングテクニック、そしてレースを取り巻く様々な人間模様、それらが複雑に絡み合った、ドラマチックなレースでした。スパ・フランコルシャンという伝統あるサーキットの、歴史に刻まれた一戦として記憶されています。スパの雨と、そしてクラークというドライバーの伝説が、このレースを語り継がせるのでしょう。

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