1966年の日本グランプリ (ロードレース)

1966年のロードレース世界選手権第12戦、日本グランプリは、10月15日と16日の2日間に渡り、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。それまでの開催地であった鈴鹿サーキットから富士スピードウェイへと舞台が移った、記念すべきレースとなりました。開催クラスは50cc、125cc、250cc、そして350ccの4クラスが予定されていましたが、レースを彩る影となる出来事が発生します。

ホンダのワークスチームは、この日本グランプリへの参戦を辞退しました。公式な理由は、富士スピードウェイの30度バンクが危険であるというものでしたが、鈴鹿サーキットから開催権を奪われたことへの抗議という見方も根強く存在しました。鈴鹿サーキットはホンダのグループ企業であったことを考えると、この見解も無視できないでしょう。

ホンダの欠場という衝撃的な出来事の中、カワサキやブリヂストンといった日本メーカーが積極的に参戦しました。特にカワサキは、ツーリスト・トロフィーでの死亡事故以来のGP参戦であり、大きな注目を集めました。 チームには、デイヴ・シモンズ、クリス・ヴィンセント、安良岡健といった強豪ライダーに加え、エルンスト・デグナーも参加していました。しかし、デグナーはプラクティス中に事故に遭い、選手生命を断たれるという悲劇に見舞われました。この事故は、レースそのものだけでなく、モータースポーツ界全体に衝撃を与えました。

さらに、東欧勢のマニファクチャラーもこのレースを欠場しました。様々な思惑が交錯した、複雑なレース展開となったと言えるでしょう。

レースの結果、350ccクラスはフィル・リード（ヤマハ）、250ccクラスは長谷川弘（ヤマハ）、125ccクラスはビル・アイビー（ヤマハ）、そして50ccクラスは片山義美（スズキ）がそれぞれ優勝を飾りました。50ccクラスのタイトル争いは、ホンダの欠場により、2位に入ったハンス＝ゲオルグ・アンシャイトがタイトルを獲得することとなりました。

興味深いのは、レーススケジュールです。350ccクラスの決勝は、土曜日に行われました。これは、日本グランプリにおいて初めての土曜日開催だったと記録されています。それ以外のクラスは、翌日の日曜日に行われました。

この1966年の日本グランプリは、ホンダの欠場という異例事態、カワサキの参戦、そしてデグナー選手の悲劇など、数々の出来事が絡み合った、記憶に残るレースとなりました。富士スピードウェイでの初開催という歴史的な側面に加え、政治的、経済的、そして人道的側面からも、このレースは多角的に分析する価値のある、重要なモータースポーツ史の一ページと言えるでしょう。 詳細な各クラスの決勝結果や、当時の新聞記事、公式記録などから、このレースのさらなる魅力を探求することが今後の課題と言えます。 特に、ホンダの欠場理由に関するより詳細な情報や、関係者からの証言などを調査することで、より深い理解が得られると考えられます。

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