1966年イタリアグランプリ

1966年イタリアグランプリ：スカルフィオッティの奇跡とブラバムの戴冠

1966年9月4日、イタリア・モンツァ・サーキット。F1世界選手権第7戦、イタリアグランプリが開催されました。このレースは、36回目のイタリアGPであり、モンツァでの開催としては32回目という歴史あるものです。5.75kmのコースを68周する、全長391kmという長丁場のレースとなりました。

この年の世界選手権は、ジャック・ブラバムが圧倒的な強さでポイントリーダーとしてシーズンを進めていました。彼を唯一脅かす存在が、ジョン・サーティースでした。サーティースがチャンピオンに輝くには、残る3戦全てで優勝するという厳しい条件をクリアする必要がありました。しかし、その夢は、まさに地元イタリアでのレースで、フェラーリの活躍によって打ち砕かれることとなります。

フェラーリは、このホームグランプリに向けて3バルブのシリンダーヘッドを搭載したマシンを投入するなど、万全の準備を整えていました。また、ホンダは新型エンジンを搭載したRA273、イーグルはウェスレイクV12エンジンを搭載したT1G、そしてBRMもH16エンジンを搭載したP83と、各チームも新型マシンを投入し、熾烈な争いを予感させました。

予選では、マイク・パークスがポールポジションを獲得、チームメイトのルドビコ・スカルフィオッティが2番手と、フェラーリ勢が好位置を占めました。3番手にはジム・クラークがつけ、サーティースとロレンツォ・バンディーニが2列目に続きました。

決勝レースは、序盤からアクシデントが相次ぎました。グラハム・ヒルは1周も持たずにリタイア。バンディーニは燃料系統のトラブルでピットインを余儀なくされ、優勝争いから脱落しました。ジャッキー・スチュワートも燃料漏れでリタイア。そして、ポイントリーダーのブラバムもオイル漏れで脱落しました。

レースは、その後、スカルフィオッティ、パークス、サーティース、デニス・ハルムというトップグループが形成されました。しかし、サーティースのマシンは燃料タンクが破損し、リタイア。チャンピオン争いから脱落し、ブラバムのチャンピオン獲得が確定しました。一方、スカルフィオッティは着実に順位を上げ、ついにトップに躍り出ます。

最終的に、スカルフィオッティが見事優勝を飾りました。これは、1952年のアルベルト・アスカリ以来、フェラーリでイタリアGPを制した2人目のイタリア人ドライバーという快挙でした。2位にはパークスが入り、フェラーリは1-2フィニッシュという素晴らしい結果を残しました。

スカルフィオッティの初優勝、そしてフェラーリの圧倒的な勝利。一方、ブラバムはリタイアしたものの、ライバルの脱落により、6年ぶり3度目のチャンピオンに輝きました。ティフォシ（フェラーリの熱狂的なファン）たちは、スカルフィオッティの活躍に熱狂し、ブラバムの戴冠を祝福しました。この1966年イタリアグランプリは、多くのドラマと興奮に彩られた忘れられないレースとなりました。

主要な結果

優勝：ルドビコ・スカルフィオッティ (フェラーリ)
2位：マイク・パークス (フェラーリ)
3位：デニス・ハルム (ブラバム)
ワールドチャンピオン：ジャック・ブラバム (ブラバム)

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