1967年のサンケイアトムズ

1967年のサンケイアトムズ

1967年、サンケイアトムズは飯田徳治監督体制のもと、2年目のシーズンに臨みました。

シーズンの概要

この年、チームは大幅な戦力刷新を敢行しました。ドラフト会議では、奥柿幸雄、加藤俊夫、武上四郎、浅野啓司といった将来を担う若手を指名。さらに、新外国人選手としてデーブ・ロバーツを獲得し、トレードでは西鉄ライオンズから城戸則文、近鉄バファローズから山本八郎を迎え入れるなど、積極的にチーム力の向上を図りました。

しかし、新たな陣容で迎えたシーズン序盤に予期せぬ事態が発生します。開幕から3試合目、新加入の城戸が活躍する影で、長年にわたりチームの中心として活躍してきた主砲・徳武定祐選手の連続試合出場記録が821試合でストップしてしまいました。この出来事がチーム内に微妙な空気をもたらし、その後の不振の一因となったとも言われています。

チームは開幕から波に乗れず、相次ぐ連敗を喫します。事態を重く見た球団は、5月22日に飯田監督の休養を発表し、ヘッドコーチだった中原宏が監督代行として指揮を執ることになりました。

監督交代はチームに一時的な活力を与えました。中原代行が指揮を執って間もなく、チームは快進撃を開始。交代後の最多連勝記録となる9連勝を記録し、一時は順位を上げるかと期待が高まりました。

しかし、その勢いは長くは続かず、再び低迷期に突入してしまいます。最終的には、前年から勝ち星を6つ増やしたものの、大洋ホエールズとの4位争いに敗れ、惜しくもAクラス入りを逃し、最終順位は5位となりました。

この結果を受けて、飯田監督はこのシーズン限りでチームを離れることになり、後任には「300勝投手」として知られる別所毅彦氏が新たな監督として就任しました。

個人の活躍とチームの変化

厳しいシーズンの中でも、若手の台頭という明るい材料がありました。特に新人選手・武上四郎の活躍は目覚ましく、阪神タイガースの江夏豊という強力なライバルとの新人王争いを制し、球団としては佐藤孝夫以来となる新人王のタイトルを獲得しました。武上選手は打率.299を記録しており、シーズン終盤に怪我で戦線離脱していなければ、1958年の読売ジャイアンツ・長嶋茂雄氏以来となる「新人3割」達成も十分に可能だったと言われています。

長年、チームの課題とされてきた打撃陣も改善の兆しを見せました。新外国人選手ロバーツと新人王武上選手の加入により、打線に厚みが増し、チーム総得点はリーグ3位の503点、本塁打数もリーグ4位の120本を記録するなど、特に長打力が大きく向上しました。この打撃力の強化は、翌年のチームが4位に浮上する上で重要な要素となりました。

特徴的な出来事

シーズン中の出来事としては、10月9日の中日ドラゴンズ戦で、チームにボールを納品する運動具店の車が交通渋滞に巻き込まれたため、ボールが球場に届かず、試合開始が37分遅れるという珍しい一幕がありました。

まとめ

1967年のサンケイアトムズは、積極的な補強でチーム改革を目指しましたが、チーム内部の軋轢や不安定さが影響し、目標とした上位進出は果たせませんでした。しかし、武上選手の新人王獲得や打撃力の向上といった要素は、翌年以降への希望を感じさせるシーズンとなりました。

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