1967年のラジオ (日本)

1967年の日本のラジオ界は、数々の画期的な番組が登場し、その後の放送文化に大きな影響を与える節目となった年です。深夜放送の新たな潮流が生まれた一方、放送を取り巻く制度や体制にも変化が見られました。

新たなラジオ時代の幕開け：注目の番組たち

この年は、後のラジオ界を象徴するような番組が多数誕生しました。特筆すべきは、若者文化に深く根差していくことになる深夜放送です。

深夜ラジオの隆盛
TBSラジオでは、深夜の新たなスタイルを確立する『パックインミュージック』が8月1日に放送を開始しました。
そして10月2日には、ニッポン放送で『オールナイトニッポン』がスタート。これら二つの番組は、深夜帯にパーソナリティがリスナーと親密なコミュニケーションを取る形式で人気を博し、若者たちの間でラジオが再び重要なメディアとなるきっかけを作りました。
毎日放送でも、10月2日に『MBSヤングタウン』が始まり、関西圏の深夜放送を盛り上げました。

その他の主要番組
長寿番組となった東京放送（現：TBSラジオ）の『永六輔の誰かとどこかで』が1月2日に開始。
文化放送では、後にFM東海（現：TOKYO FM）へ移行し、長年愛されることとなる大人の雰囲気を持つ音楽番組『JET STREAM』が7月4日に始まりました。
NHK-FM放送では、3日から『朝のリズム』がスタートするなど、各局が特色ある番組を編成し始めました。

平和への願いを込めて：「かわいそうなぞう」の朗読

終戦記念日である8月15日には、TBSのミニ番組『昼の話題』の中で、担当の秋山ちえ子氏が「かわいそうなぞう」の朗読を行いました。この朗読は大きな反響を呼び、以後、終戦記念日の前後に行われる恒例の企画となりました。『秋山ちえ子の談話室』と番組名が変わった後も続き、さらに『大沢悠里のゆうゆうワイド』内でも引き継がれ、2015年まで長きにわたり平和の尊さを伝える取り組みとして続けられました。

放送体制の整備：コールサイン整理と商号変更

番組面での活況に加え、放送を取り巻く制度や組織にも重要な変化がありました。

NHKの大規模コールサイン整理
11月1日、3年に一度行われる放送局の免許更新に合わせて、NHKのコールサイン（呼出符号）が大規模に整理されました。これは、当時進められていたUHF（極超短波）を利用した民放テレビ局の大量開局に備えるための一環でした。整理の対象となったのは、当時全国に70あったNHKの放送局のうち、ラジオ第1放送の親局（ただし兵庫・姫路局を除く）以外の全ての中継局です。これらの局に割り当てられていたコールサインが廃止され、ラジオ第1放送の親局のみがその識別符号を保持することとなりました。これは、今後の放送ネットワークの効率化と多メディア化を見据えた動きと言えます。

中国放送への商号変更
4月1日には、ラジオ中国が「中国放送」へと商号を変更しました。

まとめ

1967年は、深夜放送の隆盛というリスナー文化の大きな変化の兆しが見られた一方で、UHFテレビ時代への対応として放送インフラの基盤整備も進められるなど、多角的な動きが見られた一年でした。今日まで続く多くの人気番組や、社会的意義を持つ朗読企画が生まれたこの年は、日本のラジオ放送史において、その後の発展を形作る重要なステップとなったと言えるでしょう。

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