1968年のメジャーリーグベースボール

1968年のメジャーリーグベースボール：激動と記録のシーズン

1968年のメジャーリーグベースボール（MLB）は、アメリカンリーグでデトロイト・タイガースが23年ぶり8度目のリーグ優勝、ナショナルリーグではセントルイス・カージナルスが2年連続12度目のリーグ優勝を果たしました。ワールドシリーズでは、タイガースがカージナルスを4勝3敗で下し、23年ぶり3度目のシリーズ制覇を成し遂げました。

カンザスシティ・アスレチックスの移転と球団拡張

この年、カンザスシティ・アスレチックスがミズーリ州カンザスシティからカリフォルニア州オークランドへ本拠地を移転し、オークランド・アスレチックスと改称しました。また、両リーグともに翌年からエクスパンションによって12チームになることが決定しており、10チーム制の最後の年となりました。

各リーグの戦況

アメリカンリーグでは、前年優勝を逃したタイガースが開幕から首位を独走し、2位に大差をつけて優勝。ウィリー・ホートン、ビル・フリーハンら強力打線に加え、デニー・マクレインが最多勝利とサイ・ヤング賞、MVPをダブル受賞する活躍を見せました。マクレインの30勝到達は34年ぶりの快挙でした。一方、ナショナルリーグでは、カージナルスが連覇を達成。ボブ・ギブソンが驚異的な成績でサイ・ヤング賞とMVPを獲得し、投手陣を牽引しました。

記録的な「投手の年」

1968年は「投手の年」として特筆されます。アメリカンリーグで打率3割を超えたのはカール・ヤストレムスキーのみで、その打率もMLB史上最低記録を更新。ボブ・ギブソンの防御率1.12は、ライブボール時代以降では歴代最高記録です。ドン・ドライスデールは連続無失点記録を樹立するなど、数々の記録が生まれました。この状況を受け、翌年からストライクゾーンの見直しやピッチャーズマウンドの高さ変更などの対策が講じられることになりました。

MM砲の終焉

かつてMLBを席巻したミッキー・マントルとロジャー・マリスの「MM砲」が、揃って現役を引退しました。マリスは1961年にベーブ・ルースの記録を塗り替える61本塁打を放ちましたが、故障の影響でこの年引退。マントルも故障に苦しみ、シーズン終了後に引退を決意しました。二人の引退は、一つの時代の終わりを象徴する出来事でした。

選手とオーナーの対立

シーズン前には選手の最低年俸引き上げ交渉が妥結したものの、シーズン後半にカージナルスの選手の年俸が公表され、高給取りと批判される事態が発生。オーナー側は選手会の待遇改善要求に危機感を抱き、選手のトレードを画策。カート・フラッドがそれを拒否し、法廷闘争に発展するなど、選手とオーナーの対立が表面化しました。

球団拡張と地区分割

MLBは1969年から12球団制へ拡張されることが決定し、カンザスシティとシアトル、サンディエゴとモントリオールに新たなフランチャイズが誕生しました。これに伴い、両リーグは東西地区に分割され、リーグ優勝決定シリーズが導入されることになりました。

エクスパンションドラフトと選手会

新球団への選手供給のため、エクスパンションドラフトが開催され、各球団から選手が指名されました。また、選手会は最低年俸の引き上げや待遇改善を求め、オーナー側との交渉を重ねました。その結果、選手側がほぼ要求を貫徹する形で合意に達しましたが、年金問題で再び対立。コミッショナーの辞任騒動にまで発展し、選手会とオーナー側の対立は激化の一途を辿りました。

1968年のMLBは、記録的な投手の活躍、スター選手の引退、球団拡張、選手とオーナーの対立など、様々な出来事が重なり合った激動のシーズンでした。

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