カート・フラッド

カーティス・チャールズ・フラッド

カーティス・チャールズ・フラッド（Curtis Charles Flood）は、1938年1月18日にテキサス州ヒューストンで誕生し、1997年1月20日に亡くなるまでメジャーリーグベースボール（MLB）で活躍した著名な選手です。彼は主に中堅手として知られ、その技術と業績によってプレーの枠を広げ、選手の権利向上に貢献しました。

経歴の始まり

フラッドは1956年にシンシナティ・レッドレッグスと契約し、マイナーリーグで素晴らしい成績を残しました。ミニマムリーグでも打率.340、29本塁打を記録し、1958年の9月にメジャーデビューを果たしました。デビュー戦ではセントルイス・カージナルスとの試合で初の本塁打を記録しました。その後彼はカージナルスにトレードされ、長いキャリアの中でこのチームの中心選手となりました。

セントルイス・カージナルスでの成功

フラッドは1958年シーズン開幕をマイナーで迎えましたが、すぐに昇格し、定位置を確保します。彼の打率は前半戦で.317を記録しましたが、その後は一時不振に陥りました。彼の本領が発揮されるのは1961年以降で、その年の8月からレギュラーに定着し、打率.322を残しました。さらに1962年には17試合連続安打を含む打率.296、キャリアハイの12本塁打を記録しました。

1963年には打率.302と200安打を達成し、初のゴールドグラブ賞を受賞。以降、彼は7年連続でこの賞を受賞します。その後、1964年にはオールスターゲームに選出されるとともに、チームのリーグ優勝にも貢献しました。ワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキースに対してチームが勝利したものの、彼自身の打率は不振でした。続く年も彼は高い打率を維持し、1967年にはキャリアハイの.335を記録。チームの再びのリーグ優勝と共に、彼の名声は高まりました。

カート・フラッド事件

フラッドのキャリアの中で最もよく知られる出来事は、「カート・フラッド事件」と呼ばれるトレードの拒否に関連する問題です。1969年にカージナルスからフィラデルフィア・フィリーズへのトレードが決まると、フラッドはこれに反発します。彼はトレードの無効を求める書面をMLBコミッショナーに送却し、結果として選手の契約上の権利に対する大きな議論を引き起こしました。

法的な戦いと影響

フラッドは保留条項に異議を唱え、裁判を起こし、アーサー・ゴールドバーグ弁護士の協力を得て訴訟を進めました。しかし、この訴訟は不運にも却下され、フラッドはその後もプレー意欲を失い、キャリアを縮めていきました。最終的には1971年に現役を引退。彼の行動は選手の権利意識を高め、1975年には「10 and 5 ルール」が制定され、さらにフリーエージェント制度の導入へと繋がったのです。

引退後と功績

引退後、フラッドはオークランド・アスレティックスの解説者として活動しましたが、若い頃からの喫煙と飲酒が影響し、1997年に咽頭がんで亡くなります。彼の死後、MLB選手会はフラッドの功績を記念して「カート・フラッド賞」を創設しました。この賞は選手の権利向上に寄与した人物に贈られます。

選手としての特長

彼は高いミート力で知られ、1960年代には6回の打率.300以上を記録しましたが、盗塁技術はやや劣っていました。そのため通算盗塁数は88であるものの、盗塁死が73回に達し、成功率は55%にとどまりました。フラッドの功績は今もMLBの歴史の中で語り継がれています。

もう一度検索