1970年の近鉄バファローズ

1970年の近鉄バファローズのシーズンレビュー

1970年、近鉄バファローズは三原脩監督の3年目を迎え、注目すべきシーズンが展開されました。この年、チームは初めてのリーグ優勝を目前にしながらも、阪急に次ぐ2位という成績を収めました。

シーズンの概要

近鉄バファローズは、この年のドラフトで三沢高校出身の太田幸司を1位指名しました。入団挨拶には佐伯勇オーナーが自ら出向き、太田はその後、江崎グリコのCMに起用されてチームのイメージ向上にも寄与しました。しかし、プロの厳しさを実感し、シーズンでは1勝にとどまる結果となりました。太田の入団や、大阪で開催された日本万国博覧会の影響を受け、三原監督は「万博イヤーは優勝で飾る」と意気込みを見せました。

シーズンが始まってから、チームは5月まで首位との差が2.5ゲームという良好な位置にいましたが、6月以降には成績が下降し、阪急との競争が続くことになりました。一方で、オフシーズンに発生した黒い霧事件が影響を及ぼし、4番打者の土井正博が賭博のため書類送検され、球団職員も八百長に関与して永久追放されるという不祥事が相次ぎました。このような逆境の中でも、チームは最終的にAクラスを維持し、阪急の逆襲をかわしましたが、1つ順位を下げたものの、三原監督はこの年限りで退任することになりました。

投手陣の活躍

投手陣では、太田の加入に刺激を受けた鈴木啓示が21勝を挙げ、最多奪三振の記録を達成しました。また、佐々木宏一郎は防御率1位を南海の佐藤道郎に譲りながらも17勝を挙げ、勝率1位に輝きました。清俊彦も安定した成績で14勝を挙げるなど、全体として層の厚さを見せつけました。さらに、社会人から入団した神部年男がローテーション入りし、チームの投手力は2年連続で防御率2点台を記録するなど充実の内容でした。

打撃陣の成績

打撃面では、阪神から移籍した辻佳紀がチームで最も多い19本塁打をマークしましたが、打率が1割台と低迷していました。その他では、永淵洋三と小川亨が活躍し、打撃陣の厚みを支えました。全体として、チーム本塁打数は優勝したロッテから59本差の最下位でしたが、盗塁については安井智規を中心に6選手が2桁盗塁を達成し、152盗塁でリーグ2位に輝くなど足を活かした攻撃が印象的でした。

重要な出来事

1970年10月6日には、佐々木宏一郎が対南海戦で完全試合を達成し、印象に残る瞬間を作り出しました。これにより、彼はチームの歴史に名を刻むこととなりました。

まとめ

このように、1970年の近鉄バファローズは多くの出来事と挑戦を経て、充実したシーズンを送ることができました。特に、選手たちの活躍やチームとしての結束、逆境を乗り越える姿勢が今後の発展に繋がることが期待されます。

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