1971年の国際連合事務総長の選出

1971年の国際連合事務総長選出

1971年は国際連合の事務総長選出において重要な年でありました。この年に選ばれた人物は、前任者ウ・タントの任期後の新たな指導者として任命されることになりました。ウ・タントは2期8年にわたり事務総長を務めており、1961年からの在任期間が終了するこのタイミングで次期事務総長を選出する必要がありました。

候補者たちの登場

候補者として浮上したのは、アルゼンチンのカルロス・オルティス・デ・ロサス、オーストリアのクルト・ヴァルトハイム、フィンランドのマックス・ヤコブソンの3名です。この3人はそれぞれ異なる背景を持ち、多くの国々の支持を期待していましたが、初めの2回の投票ではすべての候補者に拒否権が行使され、事務総長選出は難航しました。

初期の投票と拒否権の影響

国際連合の事務総長は、安全保障理事会の勧告に基づき、総会によって任命されます。しかし、加盟国の中には拒否権を持つ常任理事国があり、それによって投票結果に大きな影響を与えました。特に、アメリカ、ソ連、中国、フランス、イギリスの5ヶ国がその常任理事国となっています。これにより、特定の国や候補者は容易に排除される可能性がありました。

ウ・タントが再選を求めない意向を示したのは、1971年1月18日でした。この決定は、多くの国からの再任希望を受け入れないものでした。特に、アジアやアフリカ諸国から支持を受けていたウ・タントの辞退は、国際舞台における影響力を持つ国々にも衝撃を与えました。

候補者の支持と対立

ヤコブソンが立候補を表明すると、彼の支持を得るためのキャンペーンが始まりました。ヤコブソンは、反植民地主義を強く訴えており、アフリカの新独立国からの支持を受けていました。しかし、言語による障壁が彼のマイナス要因となり、フランスの支持を獲得することは困難でした。また、彼のユダヤ人というバックグラウンドがアラブ諸国の支持を受けにくくしていました。

一方、オーストリアのヴァルトハイムは、フランスとアメリカからの支持を期待しつつ、票を集めるために独自の戦略を練っていました。彼はフランス語も流暢に話せたため、フランスの支持を得る可能性があったのです。最後の候補者として浮上したヤリングは、スウェーデンからの推薦を得ていましたが、最終的にはチリのヘレーラが立候補を表明し、ラテンアメリカ諸国の支持を受けることになりました。

最終投票と選出

1971年12月、ようやく事務総長の選出投票が行われました。投票は非公開で、各国の代表は無記名で票を投じました。この選挙では、最初の2ラウンドでヴァルトハイムが最多票を得るも、複数の拒否権が行使され、選出が進みませんでした。しかし、最終的には3回目の投票でヴァルトハイムが選ばれる結果となり、1972年1月1日に新たに事務総長として任命されました。

結果に対する反応

ヴァルトハイムの選出は意外性を持っており、彼の後ろ盾となる形で支持を受けた国々の影響や戦略的判断が結果に大きな影響を与えました。一方、ヤコブソンの選挙運動が多くの失敗に見舞われたことも否めません。国際的な選挙では、単に人気や能力だけでなく、政治的な戦略や国際関係が大きな役割を担っていることが明白になったのです。

この選挙が国際連合の事務総長選出における方針や対応に新たな視点をもたらすことに繋がり、以降の国連活動においても影響を及ぼしました。

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