1971年東京都知事選挙

1971年東京都知事選挙について

1971年4月11日に行われた東京都知事選挙は、現職の美濃部亮吉氏の任期満了に伴い実施されました。この選挙は、第7回統一地方選挙の一環として行われ、当時の政治状況や都政に対する関心の高さから、多くの注目を集めました。

選挙の概要

現職の美濃部亮吉氏は、2期目を目指して立候補しました。選挙戦では、ベトナム戦争などの国政問題を都知事選に持ち込み、「ストップ・ザ・サトウ」を連呼して当時の首相である佐藤栄作氏への批判を展開しました。一方、自民党は、前々回の知事である安井誠一郎氏に続く警察官僚出身の秦野章氏を擁立しました。秦野氏は、環状七号線を高速道路、一般道、地下鉄の3層構造にするという大規模な開発構想「4兆円ビジョン」を掲げ、都政の保守回帰を目指しました。

公明党と民社党は、自民党と距離を置き、美濃部氏の社会党・共産党との共闘に接近し、対立候補を擁立せずに美濃部氏を支援しました。これにより、選挙後に発足する「四党体制（社共公民）」が事実上成立しました。また、選挙戦では、美濃部氏の通名使用届が却下されたり、他の候補者が美濃部氏のポスターに酷似したものを利用したりするなど、混乱を招く出来事もありました。

立候補者と選挙戦の状況

この選挙には、合計13名が立候補しました。美濃部氏、秦野氏のほか、大日本愛国党の赤尾敏氏、過去に都知事選に複数回出馬している人物、社会大衆党の元衆議院議員、楢橋渡の秘書を自称する人物、土木建設請負業者、世界連邦推進を掲げる人物など、多彩な顔ぶれが揃いました。赤尾氏は、立会演説会で過激な発言をしたため、警察に連行されるという騒ぎも起きました。選挙戦は、現職の美濃部氏と保守系の秦野氏の対決を軸に展開しましたが、他の候補者もそれぞれ独自の主張を展開しました。

選挙結果

選挙の結果、投票率は72.36%と、過去最高の記録を更新しました。これは、2016年の都知事選まで破られることのない記録となりました。美濃部氏は約361万票を獲得し、2位の秦野氏に大差をつけて圧勝しました。美濃部氏の得票数は、当時の日本の選挙における個人としての最高得票数であり、2012年に猪瀬直樹氏が記録を更新するまで保持されました。美濃部氏の勝利は、社会党・共産党の支持に加え、当時の圧倒的な人気によるものでした。一方、秦野氏は、舌禍が災いして公約が浸透せず、敗北しました。その他の候補者では、大日本愛国党の赤尾氏が最上位に入りました。この選挙の結果は、その後の都政に大きな影響を与えることとなりました。

選挙後の影響

この選挙で誕生した美濃部都政は、革新都政として、福祉政策や環境問題への取り組みを推進しました。また、選挙で成立した四党体制は、都政における協力関係を築き、その後の都政運営に一定の影響を与えました。1971年東京都知事選挙は、都政史上、重要な転換点となった選挙と言えるでしょう。

主な立候補者

美濃部亮吉（現職、社会党・共産党推薦）
秦野章（自民党推薦）
赤尾敏（大日本愛国党）
その他

選挙結果の詳細

投票率：72.36%（過去最高）
美濃部亮吉：約361万票（圧勝）
秦野章：2位
赤尾敏：3位

この選挙は、都政における革新と保守の対立を鮮明にしただけでなく、その後の都政運営にも大きな影響を与えました。また、選挙戦における様々な出来事は、当時の社会状況や政治に対する関心の高さを象徴するものとして、後世に語り継がれています。

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