1972年のロッテオリオンズ

1972年のロッテオリオンズの動向

1972年はロッテオリオンズにとって、さまざまな変化があった重要なシーズンでした。この年は、大沢啓二監督の2年目であり、また東京スタジアムをホームグラウンドとする最後の年でもありました。

この年のロッテは、前年の7月に大沢監督が就任したことから、チームが好調に見えた時期もありました。特に大沢監督は当初、打撃力に頼る野球からの脱却を目指し、よりバランスの取れたチーム作りに挑戦していました。具体的には、アルト・ロペスや榎本喜八、江藤慎一といった主力選手を放出し、外山義明、村上公康、野村収を獲得して新体制を構築しようとしました。

しかし、これらの戦略は思うように機能せず、投手陣は故障者が続出しました。加えて、打撃力もロペスたちの放出の影響で大きくダウンし、最終的にはチーム成績は5位という低迷を招いてしまいます。この結果、大沢監督は「5年契約」を破棄され、解任されることとなりました。新監督には名投手・金田正一が就任し、チームの再建を託されることとなります。

また、この年は球団経営にも大きな変動がありました。中村長芳オーナーが西日本鉄道の球界撤退を受けて、西鉄ライオンズの譲渡先を模索するも、適当な相手を見つけることができず、最終的に自ら「福岡野球株式会社」を設立しライオンズを買収しました。この事態を受けて、中村オーナーはロッテのオーナー職を辞職することに決めました。

さらに、11月になると新たなオーナーである重光武雄が、本拠地である東京スタジアムの経営者と使用交渉を行いましたが、球場の累積赤字を理由に拒否され、東京スタジアムは閉鎖されることが決定しました。この出来事は、オリオンズにとって非常に衝撃的なものであり、チームの運営や今後の方針に深刻な影響を及ぼすこととなりました。東京スタジアムでの歴史が幕を閉じたのです。

東京スタジアムの閉鎖に伴い、オリオンズは新たな本拠地として宮城球場を選ぶことになりましたが、これ以降、全国各地にあるスタジアムを転々とする「ジプシー・ロッテ」と呼ばれる時代が始まります。この状況は1977年まで続くことになります。

このように1972年のロッテオリオンズは、監督交代や本拠地の移転など、浮き沈みの激しい1年となりました。チームの再建が急務であり、ファンにとっても試練の年であったと言えるでしょう。

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