1975年の日本公開映画

1975年の日本公開映画は、その年に日本国内で商業的な上映が行われた様々なジャンルの作品群を指します。この昭和50年は、国内外の映画が数多く紹介され、観客に多様な選択肢を提供した年となりました。

特に洋画では、アメリカからパニック映画の金字塔とされる「タワーリング・インフェルノ」や、全世界で社会現象を巻き起こした「ジョーズ」といった超大作が公開され、大きな話題を呼びました。これらの作品は、高度な特殊効果と緊迫感あふれるストーリーで、当時の観客に強い衝撃を与えました。他にも、アカデミー賞受賞作である「カッコーの巣の上で」や、名作として知られる「オリエント急行殺人事件」、フレンチ・コネクションの続編「フレンチ・コネクション2」なども公開されています。アメリカ映画以外では、イギリス、フランス、イタリア、西ドイツなどヨーロッパ各国の作品に加え、香港のカンフー映画（ブルース・リー主演作「ドラゴンへの道」など）や、スウェーデン、ペルー、南アフリカ共和国など、幅広い地域の作品が紹介されました。サスペンス、アクション、コメディ、ドラマ、ホラーなど、ジャンルも多岐にわたっています。

邦画も活況を呈しました。山田洋次監督による国民的人気シリーズ「男はつらいよ」からは「寅次郎相合い傘」と「葛飾立志篇」の2作品が公開されました。また、菅原文太主演の「トラック野郎」シリーズもこの年にスタートし、第1作「御意見無用」と第2作「爆走一番星」が早くも公開されています。これらのシリーズ作品は、多くのファンを獲得し、邦画界を牽引しました。

その他にも、時代劇や任侠映画、青春映画、社会派作品、文芸作品など、バラエティ豊かな日本映画が製作されました。例えば、深作欣二監督の「仁義の墓場」や、市川崑監督の「化石」、斎藤耕一監督の「潮騒」などが公開リストに見られます。ドキュメンタリー作品では、後に世界的に評価される溝口健二監督の生涯を描いた「ある映画監督の生涯 私家版 溝口健二の記録」のような作品も公開されています。

子供向け映画としては、春休みや夏休み、冬休みといった長期休暇の時期に、東宝や東映が企画する「東宝チャンピオンまつり」や「東映まんがまつり」が複数回開催されました。これらのイベント上映では、テレビで人気の高かったアニメや特撮ヒーロー作品の劇場版がまとめて上映され、多くの子供たちが劇場に足を運びました。「メカゴジラの逆襲」や、仮面ライダーシリーズ、ロボコン、グレートマジンガー、秘密戦隊ゴレンジャー、宇宙円盤大戦争といった作品が、子供たちの間で人気を博しました。

年間を通して、公開は計画的に行われ、特に話題作や大作は、観客動員が見込める時期に集中する傾向が見られました。このように、1975年は、パニック映画やモンスター映画といったアメリカの大作が日本でも旋風を巻き起こす一方で、邦画は人気シリーズを軸に安定した供給を続け、さらに多様なジャンルの作品が公開されるなど、国内外の様々な映画が日本のスクリーンを彩った記念すべき一年と言えます。

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