1975年の読売ジャイアンツ

1975年の読売ジャイアンツ

1975年の読売ジャイアンツは、長嶋茂雄が監督に就任して初めて迎えるシーズンでした。「クリーン・ベースボール」を合い言葉に掲げ、チームのユニフォームやコーチ陣が一新されてスタートしました。しかし、開幕前から様々な困難が待ち受けていました。まず、キャンプ中に長嶋監督が記者会見を行っている最中、主力選手たちが隣の部屋で麻雀を始めるという出来事が発生し、チーム内には不安が広がりました。さらに、宮崎の新球場が雨の影響で使用できない事態も重なり、選手やコーチ陣に緊張感をもたらしました。

この年は、特に戦力面での弱体化が顕著でした。V9時代に活躍していた森昌彦や黒江透修、そして長嶋自身も年齢による衰えが目立ち、彼らの穴を埋める選手が見つからなかったのです。前年に引退した選手たちの影響もあって、チームは大きな戦力不足に直面しました。王貞治もオープン戦の終盤に足を負傷し、出遅れが響きました。その結果、4月12日には早くも最下位に転落しました。

4月18日には現役メジャーリーガーのデーブ・ジョンソンが入団しましたが、彼は二塁手の経験が中心で本職の三塁で苦戦しました。一時は8打席連続で三振を喫するなど打撃不振に悩まされ、結局、打率.197にとどまりました。スタメンに復帰した王貞治も本調子には程遠く、三冠王の座から一転して打点王のみに終わりました。特に、本塁打王の座をライバルである田淵幸一に譲ったことは、チームにとって大きなショックでした。

シーズンが進むにつれ、長嶋巨人は厳しいシーズンに直面し続けました。9月には、球団史上最悪の11連敗を記録し、さらに場内での騒動や週刊誌での監督批判も相次ぎました。結局、4月以降は一度も最下位から脱出することができず、10月10日には球団創設以来初となる最下位が確定しました。さらに10月15日には本拠地である後楽園球場にて広島に敗北し、広島のセ・リーグ優勝が決まるという屈辱的な瞬間を迎えました。

特に投手陣ではエースの堀内恒夫が唯一二桁の勝ち星を挙げるも、18敗を喫しました。他には横山忠夫とルーキーの中山俊之のみが勝ち越し、全体の成績は振るわないものでした。 この年は、2024年までの間に巨人史上唯一の公式戦最下位という尊厳を持つシーズンとされています。

それでも観客動員数は前年の259万人から283万人に増加し、球団新記録を達成するなど、ファンの支援は途切れることがありませんでした。このように、1975年のシーズンは、数々の苦難があったものの、ジャイアンツの歴史に刻まれることとなりました。

チーム成績

レギュラーシーズン

レギュラーシーズンの苦戦は明白で、最終的に大敗を喫してしまいました。相手チームに対する成績を振り返ると、優勝チームの広島には11勝14敗1分と健闘したものの、2位の中日には7勝18敗1分、3位の阪神には9勝16敗1分であり、どちらも負け越してしまいました。

投手成績

投手陣では堀内だけが期待に応えたものの、全員が勝ち越すことができず、厳しい成績となったことは否めません。

このシーズンは多くの課題と屈辱が散在していたものの、観客動員数の増加は一つの明るい出来事でした。野球界の厳しさを知ることとなった1975年の読売ジャイアンツですが、来るシーズンへの期待を込めてその痛みを糧に再起を図ることでしょう。

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