1976年ドイツグランプリ

1976年ドイツグランプリの概要

1976年8月1日、ドイツのニュルブルクリンクで開催された1976年F1世界選手権第10戦は、特に印象深いレースとなりました。このレースは、ニュルブルクリンク北コースのノルドシュライフェで行われた最後のF1レースでした。

予選の展開

予選日の1日目、ニキ・ラウダが7分08秒2のタイムで最初にポールポジションを獲得しました。しかし、前年の記録よりも10秒以上遅く、スペインGPから導入されたインダクションポッド規制の影響が色濃く見えました。その後、ジェームス・ハントとクレイ・レガツォーニが続き、ハントは午後になって7分06秒5を記録し、ラウダを抜いて暫定1位に立ちました。

予選の2日目は雨が降り、どのドライバーもタイムを更新できず、ハントが最終的にポールポジションを獲得しました。ラウダは2位、3位にはパトリック・デパイユ、4位にはハンス＝ヨアヒム・スタックが続きました。フェラーリチームはラウダのマシンに新しいセッティングを施すことを計画していましたが、思わぬ結果となってしまいました。チームマネージャーのダニエル・オーデットは、決勝当日にフリー走行を行うように求めましたが、その申し出は却下されました。

決勝の様子

決勝当日の状況は、前日からの雨で路面が濡れ、雨が再び降り始めていました。ほとんどのドライバーがレインタイヤを選ぶ中、唯一ヨッヘン・マスがスリックタイヤをチョイスしスタート。レガツォーニとハントがトップを争い、スタートで遅れたラウダはピットインを余儀なくされました。タイヤ交換に手間取ったラウダは、予想以上に順位を下げてしまいました。

2周目に突入した際、ラウダのフェラーリが急に挙動を乱しました。彼はコース右側に回転しながらフェンスを突き破り、山肌に激突。その後マシンは炎上し、コース上に弾き飛ばされました。この衝撃的な事故に直面したドライバーたちの中で、ガイ・エドワーズはなんとかそれを回避しましたが、後続のブレット・ランガーが止まっていたラウダのマシンに衝突し、さらなる事故が発生しました。

ラウダは、エドワーズや他のドライバーたちによって救出され病院に運ばれましたが、事故の様子は近くで見守っていた少年によって8ミリフィルムに記録されていました。レースは赤旗中断となり、クリス・エイモンはショックのあまりレースを棄権しました。このレースは、彼にとって最後のF1出場となったのです。

1時間後、レースは再開され、ハントがトップを維持し続けて優勝を果たしました。2位にはジョディー・シェクターが入り、3位にはマスが入賞しました。このレース以降、ポイント争いがハントに有利に進展していくことになります。

ラウダは事故の炎に取り残されて45秒間も過ごした末、マンハイム大学病院で治療を受けました。彼はマシンが燃えた際に発生した有害なガスを吸ってしまい、肺や血液の機能が低下し、一時は生命の危険がありましたが、奇跡的に回復し、約1ヶ月後のイタリアGPで再びレースに復帰を果たします。

結果と影響

このレースの結果として、ラップリーダーはハント（LAP1 - 14）で、ポイントランキングは第10戦終了時点でのトップ5が示されました。1976年ドイツグランプリは、ラウダの壮絶な事故とその後の復活ストーリーが強く印象に残り、F1の歴史においても重要な出来事の一つとなりました。

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