1978年自由民主党総裁選挙

1978年自由民主党総裁選挙の概要

1978年に開催された自由民主党の総裁選挙は、日本の政治史において重要な意味を持つ出来事です。この選挙では、福田赳夫の辞退により大平正芳が当選し、新たな政権のスタートを切ることとなりました。立候補者には福田のほか、大平正芳、中曽根康弘、河本敏夫の4名が名を連ねましたが、最終的には福田が辞退したため大平が当選者となったのです。

大福密約の背景

この選挙の背景には、1976年のロッキード事件に端を発するさまざまな政治的動きがありました。三木おろしの中で、反主流派である田中派、大平派、福田派は挙党体制確立協議会を結成しました。これは、三木総理と中曽根派に対抗する動きでありました。この時、田中・大平・福田の3派は協力関係を築くこととなり、大福密約が成立しました。これは福田が総理大臣として2年間任期を務め、その後に大平に政権を渡すとの取り決めでした。

1976年12月、福田は両院議員総会で満場一致で総裁に選出され、翌日には総理大臣に就任しました。大平は幹事長に就任し、この「大福一体」の体制が成立しました。しかし、福田は1977年の参院選の勝利を契機に、再選を目指す姿勢を見せ始めます。これに対し、大平の出馬意向が高まります。

大平の出馬決意

1978年に入り、派閥の動きが活発化。大平支持の動きが高まり、自民党香川県連が推薦決議を出しました。さらには、読売新聞に「大平氏、公選出馬を決意」と報じられ、彼の当選への期待が高まります。一方、福田は自らの再選を考えていましたが、大平の出馬辞退を求めます。このままでは解散総選挙が行われ、自民党の成績が影響するリスクがあったからです。

選挙戦の展開

6月には、解散に関する議論が激化し、最終的には夏に日中平和友好条約が調印され、福田政権の人気が高まりました。この状況の中で、大平は国会で「この臨時国会で大福体制は終焉する」と発言し、出馬から挑戦者の姿勢を示します。初めは福田と大平の一騎打ちが予測されましたが、次第に中曽根が支持を集め、その存在感を増しました。

予備選挙とその結果

1978年第34回衆院選から、自民党内での予備選挙制度が導入され、国会議員と一般党員・党友による投票が行われました。福田は一般党員の支持を受けて堅調だと信じ込み、大平に対抗します。しかし、実際の支持状況は逆風となり、大平が予備選で福田を大差で破りました。これにより、自民党史上初の現職総裁敗北が記録されました。

結果とその影響

最終的に、福田が辞退したことで大平が無投票当選を果たしました。この選挙における大平の勝利は、彼の政治キャリアにおいて大きな転機となり、さらに自民党内の権力構造にも影響を与えました。また、福田は「天の声もたまには変な声がある」と感想を述べ、大平は選挙について「歴史とはまことに奇妙なものだ」と語りました。

まとめ

1978年の自由民主党総裁選挙は、大平正芳の当選により日本の政治に新たな局面をもたらしました。大福密約や派閥争い、予備選挙の影響などが複雑に絡み合い、結果的に福田が政権を失うこととなったこの選挙は、自民党内の権力バランスを変える重要な出来事でした。

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